痛風、高尿酸血症
① 概要(どんな病気?)
- 血中尿酸値が高い状態(高尿酸血症)が続き、尿酸塩(MSU)結晶が関節などに沈着。
- 結晶に対する炎症反応で、急性関節炎(痛風発作)を起こす。
- 代表的には足の母趾MTP関節などに、急激な腫脹・発赤・激痛。
- 長期的には 痛風結節(トーフス)、腎障害、尿路結石などのリスク。
② 治療のゴール(大枠)
- 急性期(発作時):炎症・疼痛を速やかに抑える。
- 慢性期(再発予防):尿酸値をコントロールして、発作の再発・結節・腎障害を防ぐ。
- 重要:発作時と慢性期で薬の目的が違う(同じ薬で全部はカバーしない)。
③ 薬物治療の全体像
A. 急性期(痛風発作)の治療
- NSAIDs:第一選択になることが多い(禁忌/リスクがあれば別法)
- コルヒチン:発作初期に有効なことがある(用法は施設/添付文書に従う)
- ステロイド:NSAIDsが使いにくい場合や重症例で使用(内服/関節内など)
B. 慢性期(尿酸低下療法:ULT)
- 尿酸産生抑制薬(XOI):アロプリノール、フェブキソスタット、トピロキソスタット
- 尿酸排泄促進薬:ベンズブロマロン など(尿路結石リスク等に注意)
- 原則:少量から開始→漸増、目標値まで長期で維持
- 開始直後は発作が誘発されることがあるため、必要に応じて発作予防も考慮
| 目的 | 薬効群 | 代表薬(例) | ポイント(例) |
|---|---|---|---|
| 急性期 | NSAIDs | インドメタシン等 | 消化管出血・腎障害・心血管リスク。必要に応じ胃保護。 |
| 急性期/予防 | 抗炎症(コルヒチン) | コルヒチン | 下痢など。相互作用(CYP3A4/P-gp阻害薬)に注意。 |
| 急性期 | ステロイド | プレドニゾロン等 | 糖尿病、感染、胃腸など背景を踏まえて使用。 |
| 慢性期 | XOI(尿酸産生抑制) | アロプリノール フェブキソスタット等 | 腎機能・肝機能で用量調整/モニタリング。皮疹など。 |
| 慢性期 | 尿酸排泄促進 | ベンズブロマロン等 | 尿路結石リスク、腎機能、肝機能など。水分摂取も重要。 |
⑤ 服薬指導・フォローの要点
- 発作時:
- 早期に治療を開始するほど効果が出やすい(受診・連絡を早めに)
- 黒色便/吐血、尿量低下、強い腹痛などは副作用の可能性 → 早めに受診
- 尿酸低下薬(ULT):
- 発作が落ち着いた後に開始/継続するのが一般的(開始タイミングは方針に従う)
- 途中で自己中断すると再発しやすい
- 開始初期に発作が増えることがある(だからといって中止しない)
- 生活指導(要点):
- アルコール(特にビール)、脱水、過食、急激な減量は発作誘因
- 体重管理、水分摂取、合併症(高血圧/脂質/糖代謝)管理
ポイント: 痛風は「発作を止める治療(急性期)」と「尿酸を下げて再発を防ぐ治療(慢性期)」の二本立て。尿酸低下薬は 少量から・長期継続 が基本で、開始初期に発作が起こり得る点をあらかじめ説明しておく。