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副腎皮質ステロイドホルモン薬

副腎皮質ステロイドホルモン薬

① 薬効群の概要

副腎皮質ステロイド薬は、糖質コルチコイド受容体に結合し、強力な抗炎症・免疫抑制作用をもたらす薬。多くの炎症性・自己免疫性疾患の治療に使用されるが、副作用も多い。

② 作用機序

  • 糖質コルチコイド受容体に結合 → 核内へ移行 → 遺伝子転写調節
    • 抗炎症:PLA₂阻害(リポコルチン誘導)→ PG・LT産生↓、炎症性サイトカイン↓
    • 免疫抑制:T細胞活性化↓・サイトカイン産生↓
    • 代謝作用:糖新生↑(血糖↑)、蛋白異化↑、脂肪再分布(中心性肥満)
    • 鉱質コルチコイド作用:Na・水再吸収↑(浮腫・高血圧)

③ 代表薬

代表薬(一般名)先発品例特徴
プレドニゾロンプレドニン®最も汎用、中間型、経口・注射
メチルプレドニゾロンメドロール® / ソル・メドロール®パルス療法に使用、鉱質コルチコイド作用弱い
デキサメタゾンデカドロン®長時間型、鉱質コルチコイド作用ほぼなし、制吐にも
ベタメタゾンリンデロン®長時間型、外用剤も豊富
ヒドロコルチゾンコートリル® / ソル・コーテフ®生理的ステロイド補充、副腎不全に

投与法の特徴

ステロイドパルス療法

メチルプレドニゾロン 500〜1,000mg/日3日間 点滴静注し、これを1クールとする大量投与法
  • 目的:通常量では効果不十分な重症例に対し、速やかに強力な免疫抑制・抗炎症効果を得る
  • 適応例:急性移植拒絶反応、ループス腎炎、急速進行性糸球体腎炎、多発性硬化症の急性増悪、重症血管炎など
  • 注意点
    • 不整脈(徐脈・心停止)のリスク → 心電図モニタリング、ゆっくり投与(1〜2時間以上かけて)
    • 高血糖・感染症の増悪に注意
    • パルス後は経口ステロイドへ移行し漸減する
 

漸減法(テーパリング)

一定期間の高用量投与後、段階的に減量して離脱を目指す方法
  • 目的:長期投与で抑制された視床下部-下垂体-副腎(HPA)系の回復を待ちながら安全に減量する
  • 基本原則
    • 急な中止は副腎クリーゼ(急性副腎不全)を引き起こす危険がある
    • 一般的に2〜4週間ごとに10〜20%ずつ減量
    • 低用量域(PSL 5〜10mg/日付近)ではさらに慎重に減量
  • 注意点:減量中の疾患再燃に注意し、症状悪化時は一時的に増量を検討
 

不均等投与

ステロイドを朝食後に多く投与する方法。
  • 目的:不眠などの精神症状が出ないようにするため
  • 朝投与の理由:コルチゾールの生理的日内リズム(朝に分泌ピーク)に合わせるため
 

ステロイドカバー

長期ステロイド使用中の患者が手術・外傷・重症感染症などの強いストレスを受ける際に、ステロイドを一時的に増量する方法
  • 目的:長期投与によりHPA系が抑制された状態では、ストレス時に必要な内因性コルチゾールの分泌が不十分 → 副腎クリーゼの予防
  • 方法の例
    • 小手術:ヒドロコルチゾン 25〜50mg 静注(術直前)
    • 中等度手術:ヒドロコルチゾン 50〜75mg/日 × 1〜2日
    • 大手術:ヒドロコルチゾン 100mg 静注 → 50mg を8時間ごと × 2〜3日、その後漸減
  • 注意点:ストレス解除後は速やかに通常量に戻す
 

④ 看護のポイント(観察事項)

  • 急な中止禁止(副腎クリーゼのリスク)→ 必ず漸減して離脱
  • 易感染性 → 発熱・咽頭痛・感染徴候の観察、手洗い・含嗽の指導
  • 高血糖 → 血糖値モニタリング(特に糖尿病患者)
  • 消化性潰瘍 → 消化器症状の観察、PPI併用の確認
  • 骨粗鬆症 → 長期投与ではビスホスホネート・ビタミンD併用を検討
  • 精神症状(不眠・多幸感・うつ・せん妄)の観察
  • 満月様顔貌・中心性肥満・皮膚線条などクッシング徴候の観察