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コリンエステラーゼ阻害薬/AD

コリンエステラーゼ阻害薬(アルツハイマー型認知症治療)

① 薬効群の概要

アルツハイマー病では、脳内のコリン作動性神経が脱落し、アセチルコリン(ACh)が減少 している。コリンエステラーゼ(ChE)阻害薬は、AChを分解する酵素を阻害してシナプス間のACh濃度を上昇させることで、認知機能の低下を遅らせる 薬剤。根本的治療薬ではなく、症状の進行抑制が目的。

② 作用機序

  • シナプス間隙のAChを分解する アセチルコリンエステラーゼ(AChE) を阻害
  • → シナプス内のACh濃度↑ → コリン作動性神経伝達の改善
  • 一部の薬剤は ブチリルコリンエステラーゼ(BuChE) も阻害
  • 脳内だけでなく 末梢でもAChが増加 → 消化器症状・徐脈などの副作用の原因

③ 代表薬

一般名先発品対象剤形特徴
ドネペジルアリセプト®軽度〜高度経口・貼付剤AChE選択的阻害。最も広く使用。唯一高度ADにも適応。レビー小体型認知症 にも適応あり
ガランタミンレミニール®軽度〜中等度経口AChE阻害 + ニコチン性ACh受容体のAPL作用(二重作用)。ACh放出を促進する効果も
リバスチグミンリバスタッチ® イクセロン®軽度〜中等度貼付剤AChE + BuChE阻害。貼付剤(パッチ)のため崥下障害がある患者に有用。消化器症状が経口剤より軽減

④ 主な副作用

末梢性コリン作用による副作用が中心:
分類症状機序
消化器症状(最多)悪心・嘔吐・下痢・食欲不振消化管のACh増加 → ムスカリンM₃受容体刺激 → 腸管踠動亢進・消化液分泌↑
循環器徐脈・失神迷走神経刺激による心拍数低下
その他筋放縮(fasciculation)、発汗、流涎末梢のムスカリン受容体刺激
  • 副作用は 投与初期・増量時 に多い → 低用量から開始し漸増 が基本
  • 継続投与により耐性が得られることが多い

⑤ 看護のポイント(観察事項)

  • 消化器症状の観察:悪心・嘔吐・下痢・食欲不振(特に投与初期・増量時)→ 服薬拒否につながりやすい
  • 徐脈の観察:脈拍モニタリング、ふらつき・失神の有無
  • 体重・栄養状態のモニタリング:食欲不振による体重減少の有無
  • 貼付剤(リバスチグミン)使用時:皮膚症状(発赤・かゆみ)の観察、貼付部位のローテーション指導
  • 服薬アドヒアランス:認知機能低下による飲み忘れ → 介護者への服薬支援指導 が重要
  • 抗コリン薬の併用回避:ChE阻害薬の効果を打ち消すため、抗コリン作用のある薬剤(過活動膀胱治療薬・抱水クロラール等)の併用に注意
  • 痙攻既往のある患者:ACh増加により痙攻閾値が低下する可能性 → 慎重投与
  • 効果判定:数週〜数ヶ月で評価。認知機能・ADL・BPSDの変化を観察