GLP-1 受容体作動薬/GIP/GLP-1受容体作動薬(肥満症治療)

GLP-1 受容体作動薬/GIP/GLP-1受容体作動薬(肥満症治療)

① 薬効群の概要

GLP-1 受容体作動薬(GLP-1RA)/GIP/GLP-1受容体作動薬(2作動薬)は、腸管ホルモン(インクレチン)関連の受容体を刺激し、食欲抑制(満腹感↑)摂食行動の改善胃排出遅延などを介して体重減少を目指す薬。
  • 肥満症では、生活習慣療法(食事・運動)だけで十分な効果が得られない場合に、適応を満たすときに治療選択肢となる
  • 治療の目的は、体重だけでなく 肥満関連合併症(血圧、脂質、血糖、睡眠時無呼吸、脂肪肝など)の改善

② 作用機序(ざっくり)

  • 中枢:食欲↓、満腹感↑(摂食量↓)
  • 消化管:胃排出遅延(食後血糖や食欲に影響)
  • :血糖依存的にインスリン分泌↑、グルカゴン分泌↓(糖代謝の改善)
    • (2作動薬)GIP受容体刺激:満腹感増強や代謝改善に寄与すると考えられている(薬剤により)

③ 代表薬(肥満症治療で用いられる例)

一般名(例)剤形/頻度(例)ポイント(例)
セマグルチド(肥満症用量)皮下注(週1回)肥満症で体重減少効果が期待される。通常は少量から段階的に増量して忍容性を確認しながら継続する(医師判断)
チルゼパチド(ゼップバウンド® など)皮下注(週1回)GLP-1に加えてGIP経路も介し、強い体重減少が期待されることがある。消化器症状はGLP-1系と同様に出やすく、通常は段階的に増量して継続する(医師判断)

④ 注意点・副作用(重要ポイント)

  • 消化器症状:悪心、嘔吐、便秘/下痢、腹部膨満(開始〜増量期に多い)
  • 脱水:嘔吐/下痢で脱水 → 腎機能悪化につながることがある(特に高齢者・利尿薬併用など)
  • 胆のう系:胆石/胆のう炎のリスクが指摘される(右上腹部痛などは受診)
  • 膵炎疑い:強い持続する腹痛(背部痛を伴う等)は要受診
  • 低血糖:単独では起こりにくいが、インスリン/SU薬など併用で注意

⑤ 観察・指導ポイント(患者説明向け)

  • 継続が大事:自己判断で中断しない(再増量が必要になることがある)
  • 食事の工夫
    • 少量ずつ、よく噛む、脂っこい食事を控える(悪心対策)
    • 水分をこまめに(脱水対策)
  • 体重以外も評価:血圧、血糖/ HbA1c、脂質、肝機能など
  • 周術期/内視鏡前:休薬が話題になることがあるため、必ず医師の指示で調整

⑥ ひとこと(患者説明の例)

  • 「食欲を抑えて、食事量を無理なく減らしやすくする注射です」
  • 「吐き気などが出ることがあるので、少しずつ量を増やして慣らしていきます
  • 「生活習慣の代わりではなく、生活改善を続けやすくする補助です」