経腸栄養剤

i
経腸栄養剤(経管栄養・ONS)まとめ(臨床の超要点)
※教育用の整理。運用は必ず施設手順・指示・添付文書に従う。

1) まず押さえる:経腸栄養のメリット

  • 腸が使えるなら経腸が優先(腸管免疫・バリア維持、感染リスク低減、管理が比較的シンプル)
  • ただし誤嚥下痢/便秘閉塞電解質異常再栄養症候群などのリスク管理が必須

2) 大枠の分類(覚え方)

  • 消化態(ポリマー):たんぱく(カゼイン等)を含む「普通の栄養」寄り。消化機能が保たれているときに使いやすい
  • 半消化態:ペプチドなどを含み消化負荷を下げたタイプ
  • 成分栄養(エレメンタル):アミノ酸など、吸収負荷が小さい(使いどころは病態・施設プロトコル次第)
  • 半固形化:逆流・下痢対策などで選択されることがある(胃の貯留能などが前提になる場合あり)
  • 疾患別(腎/肝/糖尿病/呼吸不全など):電解質・たんぱく質・脂質比率が最適化されている

3) 投与ルートと投与方法(現場の基本)

  • ルート:経鼻胃管、胃瘻、空腸瘻 など
  • 方法:
    • 持続投与:耐容性がよいことが多い(特に開始時・高リスク時)
    • 間欠/ボーラス:生活に合わせやすいが、逆流・下痢・誤嚥に注意
  • 水フラッシュ:閉塞予防・水分補給(手順は施設基準で)

4) よくあるトラブルと“まず見るポイント”

下痢

  • 速度が速い/浸透圧が高い/冷たい/抗菌薬・下剤併用/感染(C. difficile)など
  • 対応:速度調整、製剤変更(食物繊維、半固形化等)、薬剤見直し、脱水・電解質確認

便秘

  • 水分不足、食物繊維不足、オピオイド等
  • 対応:水分・下剤調整、製剤変更

逆流・誤嚥

  • 体位、胃内容停滞、鎮静、嚥下機能低下
  • 対応:頭部挙上、速度調整、空腸投与検討、胃排出促進薬の是非(医師判断)

チューブ閉塞

  • 薬剤の粉砕/混注、粘度、フラッシュ不足
  • 対応:混注ルール遵守、十分なフラッシュ、閉塞時の施設手順

5) 注意すべき病態(禁忌・慎重の論点になりやすい)

  • 腸閉塞(イレウス)腸管機能が残存しない:そもそも経腸が成立しない
  • 重症糖代謝異常:高血糖・ケトーシスのリスク(製剤選択・速度・インスリン調整)
  • 高度の肝・腎障害:窒素負荷・電解質負荷・体液量(製剤の禁忌/慎重がある)
  • 牛乳たんぱくアレルギー:カゼイン含有製剤でアナフィラキシーのリスクあり

6) 再栄養症候群(最重要)

  • ハイリスク:低栄養(長期摂取不良、体重減少、アルコール、がん、摂食障害 など)
  • 何が起きる:糖投与→インスリン↑→ P低下(+K/Mg低下)→不整脈・心不全・呼吸不全など
  • 対策:少量から開始、P/K/Mgの補正、ビタミン(特にB1)考慮、頻回モニタ

7) 薬剤のチェックリスト

  • 目的(栄養補給/ONS/経管)、投与ルート、投与方法(持続/間欠)
  • 1日総水分・総カロリー・たんぱく量(病態に合うか)
  • 体重、入出量、浮腫、血糖
  • 電解質(Na/K/Cl/Mg/P)、腎機能、肝機能
  • 下痢/便秘/嘔吐/逆流、誤嚥リスク、チューブ閉塞