β作動薬

β作動薬

① 薬効群の概要

アドレナリンβ受容体(β₁/β₂/β₃)を刺激する薬剤群。受容体サブタイプごとに作用が異なり、β₁刺激 は心臓に、β₂刺激 は気管支・子宮・血管に、β₃刺激 は膀胱・脂肪組織に作用する。気管支嗘息・心不全・切迫早産・過活動膀胱など幅広い領域で使用される。

② 作用機序

  • β₁受容体刺激(主に心臓)→ 心拍数↑・心収縮力↑・房室伝導促進
  • β₂受容体刺激(気管支・子宮・血管・肝臓)→ 気管支拡張・子宮弛緩・血管拡張・グリコーゲン分解
  • β₃受容体刺激(膀胱・脂肪組織)→ 排尿筋弛緩・脂肪分解促進
  • いずれも細胞内 cAMP↑ を介して作用(Gs蛋白共役型)

③ 代表薬

β₁刺激薬(心臓用)

一般名先発品例適応・特徴
ドブタミンドブトレックス®注β₁刺激。急性心不全 の強心薬。心収縮力↑。持続点滴で使用
イソプロテレノールプロタノールL®注β₁刺激。徐脈・房室ブロック の緊急治療。心拍数↑。アトロピン無効時に使用

β₂刺激薬(気管支用)

一般名先発品例作用時間適応・特徴
サルブタモールサルタノール®、ベネトリン®短時間型(SABA)気管支嗘息の 発作時治療(リリーバー)。吸入・経口・注射
プロカテロールメプチン®短時間型(SABA)気管支嗘息発作時。吸入・経口
サルメテロールセレベント®長時間型(LABA)気管支嗘息の 長期管理(コントローラー)。ICSとの配合剤(アドエア®等)
ホルモテロールオンブレス®、オーキス®長時間型(LABA)気管支嗘息・COPDの長期管理。ICSとの配合剤(シムビコート®等)

β₂刺激薬(産科用)

一般名先発品例適応・特徴
リトドリンウテメリン®β₂刺激で子宮平滑筋を弛緩 → 切迫早産の治療。頭脈↑・振戦・低カリウム血症・肌水腫に注意

β₃刺激薬(泰尿器科用)

一般名先発品例適応・特徴
ミラベグロンベタニス®β₃刺激で排尿筋を弛緩 → 過活動膀胱(OAB)の治療。抗コリン薬とは異なる作用機序で口渇・便秘が少ない

非選択的β刺激薬

一般名先発品例適応・特徴
イソプレナリンイソプロテレノール®注β₁+β₂刺激。気管支嗘息の急性発作・徐脈・アナフィラキシーの補助。頭脈↑・振戦に注意

④ 看護のポイント(観察事項)

  • β₂刺激薬(気管支)使用時
    • 振戦・頭脈↑・動悸の観察(β₁への交差反応)
    • 吸入指導:吸入手技の確認・吸入後のうがい(ICS配合剤の場合は口腔カンジダ予防)
    • SABAの使用頻度が増えている場合 → コントローラーの見直しが必要
  • β₁刺激薬(心臓)使用時
    • 心拍数・血圧・心電図のモニタリング
    • 不整脈の観察(β₁刺激で不整脈誘発のリスク)
  • リトドリン(産科)使用時
    • 母体:頭脈↑・振戦・低カリウム血症・肌水腫 の観察
    • 胎児:胎児心拍数のモニタリング
  • ミラベグロン(泰尿器科)使用時
    • 排尿症状の改善度を評価(頑尿・尿意切迫の変化)
    • 抗コリン薬と比べ口渇・便秘が少ないのが利点

β受容体サブタイプ別比較:

項目β₁刺激β₂刺激β₃刺激
主な作用部位心臓気管支・子宮・血管膀胱・脂肪組織
主な作用心拍数↑・心収縮力↑気管支拡張・子宮弛緩排尿筋弛緩
主な適応急性心不全・徐脈気管支嗘息・COPD・切迫早産過活動膀胱
代表薬ドブタミン、イソプロテレノールSABA:サルブタモール LABA:サルメテロール 産科:リトドリンミラベグロン
主な副作用頭脈↑・不整脈振戦・頭脈↑・低カリウム血症尿路感染症・頭痛

SABAとLABAの比較(気管支嗘息):

項目SABA(短時間型)LABA(長時間型)
位置づけ発作時治療(リリーバー)長期管理(コントローラー)
作用発現数分で速効細かく持続(12〜24時間)
使用方法発作時に頓用定時吸入(ICSと併用が多い)
代表薬サルブタモール、プロカテロールサルメテロール、ホルモテロール
注意点使用頻度↑ → コントローラーの見直しLABA単独使用は避ける(ICSと併用)