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ビグアナイド薬

ビグアナイド薬

① 薬効群の概要

ビグアナイド薬は、主に肝臓での糖新生を抑制し、末梢組織でのインスリン感受性を改善することで血糖を低下させる薬。代表薬のメトホルミンは、2型糖尿病治療の第一選択薬として世界的に広く使用されている。

② 作用機序

  • 肝臓での糖新生抑制(最も重要な作用):AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)を活性化 → 肝臓からのグルコース放出↓
  • 末梢組織(筋肉・脂肪)でのインスリン感受性改善 → グルコース取り込み↑
  • 小腸からのグルコース吸収抑制(軽度)
  • インスリン分泌を促進しない → 低血糖を起こしにくい
  • 体重増加をきたしにくい(食欲抑制効果もある)→ 肥満合併の2型糖尿病に特に有用
  • 心血管イベントの抑制効果も報告されている(UKPDS試験)

③ 代表薬

代表薬(一般名)先発品例特徴
メトホルミンメトグルコ®・グリコラン®2型糖尿病の第一選択薬(世界的)。1日500〜2250mg。低血糖リスク低い。体重増加なし。安価
ブホルミンジベトス®現在はほとんど使用されない(メトホルミンが主流)

④ 看護のポイント(観察事項)

  • 乳酸アシドーシス(最も重要な副作用) → まれだが致死率が高い(30〜50%)。乳酸が蓄積 → 代謝性アシドーシス。症状:悪心・嘔吐・腹痛・倦怠感・筋肉痛・過呼吸(Kussmaul呼吸)・意識障害
  • 乳酸アシドーシスのリスク因子 → 以下の状態ではリスク↑:
    • 腎機能障害(eGFR 30未満で禁忌、eGFR 30〜45で慰重)
    • 肝機能障害
    • アルコール多飲
    • 脱水(下痢・嘔吐・発熱時)
    • ヨウ素造影剤使用時(造影剤腎症のリスク)
    • 大手術前後・重篤な感染症
  • ヨウ素造影剤使用時の休薬(極めて重要) → ヨウ素造影剤を使用するCT検査などの際、検査前から休薬し、検査後48時間以上経過して腎機能を確認してから再開
  • 消化器症状 → 悪心・下痢・腹痛・食欲不振(投与初期に多い)。少量から開始し漸増することで軽減
  • VitB12低下 → 長期使用でVitB12の吸収が低下することがある。大球性貫血・末梢神経障害の観察。定期的なVitB12測定
  • 低血糖 → 単独では起こしにくいが、SU薬やインスリンとの併用時はリスクあり
  • シックデイルール → 発熱・下痢・嘔吐・食事摂取不能時は休薬し、主治医に連絡(脱水による乳酸アシドーシスのリスク)
  • 服薬アドヒアランス → 消化器症状による自己中断を防ぐ。「続けることで症状が改善する」ことを説明
🚨

乳酸アシドーシスの予防(看護師が知っておくべきこと)

以下の場面ではメトホルミンを休薬・禁忌とする
  • 腎機能障害(eGFR < 30)
  • ヨウ素造影剤使用時(検査前から休薬→検査後48時間以上後に腎機能確認して再開)
  • 脱水状態(シックデイ・下痢・嘔吐・発熱など)
  • 大手術前後
  • 過度のアルコール摂取
  • 重篤な感染症・心不全・肝機能障害

初期症状の早期発見が重要
  • 原因不明の悪心・嘔吐・腹痛・倦怠感・筋肉痛があれば乳酸アシドーシスを疑う
  • 直ちに服薬中止し緊急受診を指導
💡

メトホルミンのメリット(第一選択薬とされる理由)

  • 低血糖リスクが低い(インスリン分泌を促進しない)
  • 体重増加がない(むしろ体重減少傾向)
  • 心血管イベント抑制効果が報告されている
  • 安価で経済的
  • エビデンスが豊富(長年の使用実績)