page icon

漢方薬(消化器領域)

漢方における消化器の考え方

漢方では消化器を「脾胃(ひい)」と呼び、消化吸収機能を生理的にとらえています。脾胃の機能低下は消化器だけでなく、全身の倦怠感や呼吸器症状にもつながります。

症状・病態別の代表処方

1. 上部消化器症状(食欲不振・胃もたれ・逆流)

タイプ代表処方ポイント
胃もたれ・食欲不振(虚証)六君子湯四君子湯+二陳湯。グレリン分泌促進作用あり。機能性ディスペプシアのガイドラインにも記載
逆流・胸やけ・ゲップ半夏瀉心湯気を補い+流れを良くし+熱を冷ます。口内炎にも応用
冷えを伴う消化不良人参湯(附子理中湯)冷水を嫌い温かい飲物を好む、腹痛あり
消化不良・膨満感平胃散厚い舌苔、味覚鈍化が特徴的
右上腹部の張り・イライラ小柴胡湯胸脇苦満が目標。肝機能障害にも使用(間質性肺炎に注意)

2. 下部消化器症状(便秘・腹痛・腹部膨満)

大黄の有無で分類するのがポイントです。
タイプ代表処方ポイント
虚証の便秘(大黄なし)大建中湯術後腸管癒着、冷え性で腸の動きが悪い、下剤で腹痛を起こす人向け
実証の便秘(大黄あり)大黄甘草湯食欲あり、腹診が硬い場合
高齢者・体液不足の便秘潤腸湯・麻子仁丸慢性消耗性疾患、発汗で体液を失った場合
瘀血を伴う便秘桃核承気湯月経不順や精神不穏も伴う場合

3. 背景病態からのアプローチ

病態特徴基本方針
気虚疲労倦怠感、食欲不振、下痢・軟便補気薬(人参・黄耆)+補脾薬で脾の機能改善
瘀血血の滞り活血化瘀剤(駆瘀血剤)+理気薬を併用

使い分けのコツ

  • 六君子湯 vs 補中益気湯:六君子湯は「食べるとすぐ満腹」、補中益気湯は「空腹感がなく食べる気がしない」
  • 虚実の判断が処方選択の鍵。腹診(腹壁の硬さ・軟らかさ)が重要な指標になります
  • 消化器症状でも冷え・熱の混在がある場合は半夏瀉心湯のような寒熱両方に対応する処方を選択