NMDA受容体拮抗薬
アルツハイマー病では、神経細胞障害により脇内の グルタミン酸 が過剰になり、NMDA受容体が過剰に活性化(興奮毒性)されて神経細胞死が促進される。NMDA受容体拮抗薬は、この過剰な興奮毒性を抑制して神経細胞を保護するとともに、認知機能の低下を遅らせる薬剤。中等度〜高度 のアルツハイマー型認知症に使用される。
- グルタミン酸の受容体である NMDA受容体 を非競合的に阻害(電位依存性Mg²⁺結合部位に作用)
- 過剰なグルタミン酸刺激による Ca²⁺流入↑ を抑制 → 興奮毒性から神経細胞を保護
- 正常なシナプス伝達(学習・記憶)は大きく妨げず、過剰な興奮のみを抑える(ノイズを減らしシグナルを明確にするイメージ)
- ChE阻害薬とは 作用機序が異なる → 併用可能
| 一般名 | 先発品 | 対象 | 剤形 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| メマンチン | メマリー® | 中等度〜高度 | 経口(錠・OD錠・ドライシロップ) | NMDA受容体拮抗薬は本薬のみ。ChE阻害薬と併用で相乗効果が期待できる。消化器症状が比較的少ない。腎排泄型 → 腎機能低下時は用量調節が必要 |
用量
- 5mg/日 から開始 → 1週間ごとに5mgずつ増量 → 維持量 20mg/日(1日1回)
- 腎機能低下時(CCr 30〜49 mL/min):維持量 10mg/日
| NMDA受容体拮抗薬(メマンチン) | ChE阻害薬 | |
|---|---|---|
| 作用機序 | グルタミン酸の過剰興奮を抑制 | ACh分解を抑制しACh濃度↑ |
| 対象 | 中等度〜高度 | 軽度〜高度(薬剤による) |
| 併用 | ChE阻害薬と 併用可能 | NMDA拮抗薬と併用可能 |
| 主な副作用 | めまい・頭痛・便秘・傾眠 | 悪心・嘔吐・下痢・徐脈 |
| 消化器症状 | 比較的少ない | 多い(末梢性コリン作用) |
| 注意する臓器 | 腎臓(腎排泄型) | 肌臓(薬剤による) |
- めまい・頭痛(最多)
- 便秘
- 傾眠・眺眠
- 血圧上昇
- 消化器症状はChE阻害薬より少ない
- 副作用は一般に軽度で、漸増により軽減される
- めまい・ふらつきの観察:転倒リスクの評価(特に高齢者)
- 傾眠の観察:過度の眺眠がないか、日中の覚醒状態の確認
- 腎機能のモニタリング:腎排泄型のため、eGFR・CCrの定期確認 → 腎機能低下時は用量調節(10mg/日)
- 便秘の観察:排便状況の確認、必要時に緑下薬の併用を検討
- 服薬アドヒアランス:1日1回服用。認知機能低下による飲み忘れ → 介護者への服薬支援指導
- ChE阻害薬との併用時:それぞれの副作用を個別に観察(消化器症状はChE阻害薬由来、めまい・傾眠はメマンチン由来)
- 効果判定:認知機能だけでなく、BPSD(興奮・攻撃性)の改善も観察ポイント