てんかん
発作型の分類
てんかん発作は大きく 部分発作(焦点性) と 全般発作 に分類される。発作型により第一選択薬が異なるため、正確な分類が治療の鍵。
| 大分類 | 発作型 | 特徴 |
|---|---|---|
| 部分発作(焦点性) | 単純部分発作 | 意識清明のまま、焦点に応じた症状(運動・感覚・自律神経等) |
| 複雑部分発作 | 意識障害 を伴う。自動症(口をモグモグ、手をまさぐる等)がみられることが多い | |
| 二次性全般化発作 | 部分発作から全身に波及→全般性強直間代発作へ移行 | |
| 全般発作 | 強直間代発作(大発作) | 意識消失+全身の強直(硬直)→間代性痙攻(ガクガク)。最も重篤 |
| 欠神発作(小発作) | 数秒〜数十秒の意識消失。痙攻なし。小児に多い。ボーッとして見える | |
| ミオクロニー発作 | 瞬間的な筋肉のピクッという収縮。意識は保たれることが多い |
主な抗てんかん薬
| 一般名 | 先発品例 | 主な作用機序 | 適応 | 特記すべき副作用・注意点 |
|---|---|---|---|---|
| フェニトイン | アレビアチン® | Naチャネル阻害 | 部分発作・強直間代 | 歯肉増殖・多毛・小脳失調・催奇形性。血中濃度モニタリング必要。欠神発作には不適 |
| カルバマゼピン | テグレトール® | Naチャネル阻害 | 部分発作の第一選択 | SJS・無顎粒球症・自己誘導(CYP3A4)・低ナトリウム血症。血中濃度モニタリング必要。欠神発作には不適 |
| バルプロ酸Na | デパケン® | GABA増強・Naチャネル阻害・HDAC阻害 | 全般発作の第一選択、欠神発作、ミオクロニー | 肝障害・催奇形性(妊娠可能年齢禁忌)・体重増加・脱毛・振戦。血中濃度モニタリング必要 |
| ラモトリギン | ラミクタール® | Naチャネル阻害・グルタミン酸放出抑制 | 部分発作・強直間代 | SJS・TEN → 漸増投与必須。バルプロ酸併用で血中濃度↑ |
| レベチラセタム | イーケプラ® | SV2A結合(シナプス小胞蛋白2A) | 部分発作・強直間代 | 精神症状(易怒性・抑うつ)に注意。薬物相互作用が少ない |
| エトスクシミド | ザロンチン®、エピレオプチマル® | T型Caチャネル阻害 | 欠神発作の第一選択 | 消化器症状・眠気・頭痛 |
| ガバペンチン | ガバペン® | 電位依存性Caチャネルのα₂δサブユニットに結合 | 部分発作(補助的) | 眠気・めまい・末梢性浮腫。神経障害性疼痛にも使用 |
| クロナゼパム | リボトリール®、ランドセン® | GABA作用増強(BZ系) | ミオクロニー・小児てんかん | 眠気・依存性。BZ系のなかでは抗てんかん作用が強い |
| ジアゼパム | セルシン®、ダイアップ® | GABA作用増強(BZ系) | てんかん重積状態の緊急治療 | 呼吸抑制に注意。静注・直腸投与 |
看護のポイント(観察事項)
発作時の対応:
- 安全確保:転倒・外傷予防(頭部保護、周囲の危険物除去)
- 気道確保:側臥位。口腔内に物を入れない(舌を噃まない)
- 発作の観察記録:開始時刻・持続時間・痙攻の部位・種類・意識状態
- 5分以上持続 → てんかん重積状態の可能性 → 緊急通報
服薬管理:
- 服薬アドヒアランス:自己判断での中断を避けるよう指導(急な中止で発作が誘発される)
- 血中濃度モニタリング:フェニトイン・カルバマゼピン・バルプロ酸は定期的に測定
- 副作用の観察:
- フェニトイン:歯肉増殖(口腔ケア指導)・多毛・小脳失調
- バルプロ酸:肝機能・体重・脱毛・催奇形性
- カルバマゼピン:SJS・無顎粒球症・低ナトリウム血症
- ラモトリギン:皮膚症状(SJS/TEN)→ 発疹が出たら直ちに報告
生活指導:
- 睡眠不足・過度のアルコール・ストレス は発作の誘因 → 生活リズムの整備
- 入浴・運転・高所作業 などの発作時のリスクを考慮した指導
- 妊娠計画 がある場合は主治医と相談(催奇形性のある薬剤の変更等)