フィルター

ラインフィルター(インラインフィルター)とは?

輸液ラインの途中に取り付け、患者へ異物を入れないためのフィルターである。

ラインフィルターの3つの目的

菌を除去
細菌などの混入を防ぐ
異物を除去
  • ガラス片
  • ゴム片
  • 結晶
  • 微粒子
を除去する
気泡を除去
空気塞栓を予防する

フィルターで問題になること

① 薬がフィルターに吸着する

代表薬
  • ニトログリセリン
  • インスリン

② 結晶や微粒子が発生する

代表薬
  • パクリタキセル
  • ドセタキセル

③ 脂肪粒子で目詰まりする

代表薬
  • 脂肪乳剤
 

① フィルター必須の薬剤

(微粒子除去・安全性)
薬剤フィルター理由
パクリタキセル0.22 µm微粒子生成
ドセタキセル0.22 µm結晶析出
アムホテリシンB(リポソーム除く)0.22 µm微粒子
脂質製剤(TPNなど)1.2 µm脂肪粒子
  • パクリタキセル・・インラインフィルターを使用する
  • アブラキサン(nab-パクリタキセル)・・インラインフィルター使用不可

② フィルター禁止・注意

(吸着・薬剤ロス)
薬剤理由
インスリンフィルター吸着
ニトログリセリン吸着
ソマトスタチン吸着
オクトレオチド吸着
アルテプラーゼ吸着

③ フィルター目詰まり注意

薬剤理由
脂肪乳剤脂肪粒子
プロポフォール脂質エマルション

④ フィルター孔径の基本

孔径主用途
0.22 µm細菌除去・抗がん薬
1.2 µm脂肪乳剤

参考)フィルター孔径 vs 異物・粒子の大きさ

🔍
小さい ←→ 大きい(対数スケール)
分類粒子・異物サイズ0.22 µm1.2 µm5 µm15 µm
微生物ウイルス0.02–0.3 µm⭕一部通過×××
微生物細菌0.5–5 µm⭕除去××
微生物真菌(胞子)2–10 µm×
薬剤粒子脂肪乳剤粒子0.2–0.5 µm⚠️目詰まり⭕通過
薬剤粒子プロポフォール乳剤0.15–0.3 µm⚠️目詰まり⭕通過
薬剤粒子nab-パクリタキセル(アルブミン結合)約130 nm(0.13 µm)⚠️捕捉リスク
薬剤粒子リポソーム製剤(L-AMB等)約100 nm(0.1 µm)⚠️捕捉リスク
異物薬剤の結晶・析出物1–50 µm⭕除去⭕除去×
異物ゴム片(コアリング)10–200 µm
異物ガラス片10–500 µm
異物フィブリン塊(血栓)10–1000+ µm
基準赤血球(参考)約7–8 µm
基準毛細血管径(参考)約5–10 µm
📌
⭕ = 除去可能、△ = 一部通過、× = 通過、⚠️ = 目詰まり・捕捉のリスクあり
💡
臨床的ポイント
  • 0.22 µm → 細菌も除去できるが、脂肪乳剤・リポソーム製剤・ nab製剤は通さない
  • 1.2 µm → 脂肪乳剤は通過可、細菌は通過する可能性あり
  • 5 µm → 輸血セットのマイクロフィルター。毛細血管径(約5–10 µm)より大きい粒子を除去
  • 15 µm → 一般輸液セットの標準フィルター。大きな異物のみ除去

よく出る薬

特に覚える薬
フィルター必要
  • パクリタキセル
  • ドセタキセル
  • アムホテリシンB
フィルター注意
  • インスリン
  • ニトログリセリン