非麻薬性鎮痛薬(麻薬拮抗性鎮痛薬)
- オピオイド受容体に作用するが、麻薬に指定されていない鎮痛薬の総称
- μ受容体に対して部分作動薬や拮抗薬として作用するため、モルヒネなどの純粋な作動薬とは異なる薬理プロファイルを持つ
- 麻薬性鎮痛薬に比べ呼吸抑制や依存性が少ないとされるが、鎮痛力には天井効果(一定以上増量しても効果が頭打ちになる)がある
- 中等度の疼痛(術後痛・外傷痛・がん性疼痛の初期など)に用いられる
- 麻薬処方箋が不要であり、管理が比較的容易
- オピオイド受容体に対して部分作動薬または作動薬−拮抗薬として作用する
- μ受容体:部分的に刺激(鎮痛)しつつ、完全作動薬の作用を拮抗する
- κ受容体:作動薬として作用し、鎮痛・鎮静効果を発揮する
- 天井効果:一定用量以上では鎮痛効果が頭打ちになるため、強い痛みには限界がある
- 麻薬性鎮痛薬と併用すると、μ受容体で競合的に拮抗し、麻薬の効果を減弱させることがあるため注意
重要:麻薬性鎮痛薬(モルヒネなど)を使用中の患者に麻薬拮抗性鎮痛薬を投与すると、鎮痛効果の減弱や退薬症状を引き起こす可能性がある。併用は原則避ける。
| 代表薬(一般名) | 先発品例 | 特徴 |
|---|---|---|
| ペンタゾシン | ソセゴン注・錠、ペンタジン注 | κ作動薬・μ拮抗薬。注射薬は術後痛などに広く使用。連用で依存性があり、注射薬は向精神薬指定。経口薬にはナロキソンを配合(乱用防止) |
| ブプレノルフィン | レペタン注・坐剤、ノルスパンテープ | μ部分作動薬。モルヒネの約25〜50倍の鎮痛力。貼付剤(ノルスパン)は慢性疼痛に7日間持続。天井効果あり |
| エプタゾシン | セダペイン注 | κ・μ作動薬。ペンタゾシンに比べ不快感(dysphoria)が少ない。術後痛に使用 |
代表薬の比較
| ペンタゾシン | ブプレノルフィン | エプタゾシン | |
|---|---|---|---|
| 受容体作用 | κ作動・μ拮抗 | μ部分作動 | κ・μ作動 |
| 天井効果 | あり | あり | あり |
| 剤形 | 注射・経口 | 注射・坐剤・貼付剤 | 注射 |
| 依存性 | 比較的あり(向精神薬指定) | 低い | 低い |
| 不快感 | 起きやすい | 少ない | 少ない |
- 呼吸抑制:麻薬性に比べリスクは低いが、高用量や他の中枢抑制薬との併用時は注意。呼吸数・SpO₂を観察
- 悪心・嘔吐:投与初期に出やすい。体位変換時に増悪しやすい
- 眠気・めまい:投与後の転倒予防に注意
- 血圧上昇・頻脈:ペンタゾシンは心血管系への影響があり、心疾患のある患者には慎重投与
- 精神症状:ペンタゾシンは不快感・幻覚を起こすことがある(κ受容体刺激による)
- 依存性:ペンタゾシンの連用では精神的・身体的依存に注意。「ペンタゾシン依存症」として問題になることがある
- 麻薬との併用禁忌:麻薬性鎮痛薬使用中の患者には原則使用しない(鎮痛効果減弱・退薬症状のリスク)
ペンタゾシン経口薬(ソセゴン錠)にはナロキソン(麻薬拮抗薬)が配合されている。経口投与では肝初回通過効果でナロキソンは分解されるが、注射で乱用するとナロキソンが作用し、退薬症状を引き起こす仕組み(乱用防止策)。