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分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤

分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤

① 薬効群の概要

肝硬変・肝不全に伴うアミノ酸インバランスの是正と低栄養状態の改善
  • 分岐鎖アミノ酸(BCAA) とは、側鎖に枝分かれした炭素鎖をもつ必須アミノ酸である バリン・ロイシン・イソロイシン の3種の総称
  • 筋タンパク質を構成する必須アミノ酸の約35〜40%を占め、食品中の必須アミノ酸の約50%を占める
  • BCAA製剤は、主に肝硬変・肝不全に伴うアミノ酸インバランスの是正、低アルブミン血症肝性脳症の改善を目的として使用される
  • 経口製剤(顆粒・経腸栄養剤)と注射製剤(肝不全用・侵襲時用アミノ酸輸液)がある

② 作用機序

  • アミノ酸インバランスの是正肝硬変では血中BCAAが低下し、芳香族アミノ酸(AAA:フェニルアラニン・チロシン・トリプトファン)が上昇する → Fischer比(BCAA/AAAモル比)の低下 → BCAAを補充してバランスを是正
  • アンモニア解毒作用:骨格筋でのアンモニア代謝(グルタミン酸→グルタミン経路)を促進し、高アンモニア血症を改善
  • アルブミン合成促進:肝臓でのアルブミン合成を促し、低アルブミン血症を改善
  • 筋タンパク合成促進・分解抑制:特にロイシンがmTORシグナルを介して筋タンパク合成を促進(サルコペニア対策としても注目)
  • エネルギー源:BCAAは筋肉で直接代謝されエネルギー源となる

③ 代表薬

経口BCAA製剤

代表薬(一般名)先発品例特徴
イソロイシン・ロイシン・バリンリーバクト配合顆粒・配合経口ゼリーBCAAのみを含有。1包あたりBCAA 4,000mg。肝硬変における低アルブミン血症の改善に用いる

肝不全用経腸栄養剤(BCAA高含有)

代表薬先発品例特徴
肝不全用成分栄養剤アミノレバンEN配合散BCAAを高含有。糖質・脂肪・電解質・ビタミンを含む総合栄養剤。1包あたり約200kcal。フルーツ味・コーヒー味あり
肝不全用成分栄養剤ヘパンED配合内用剤脂肪を含まない成分栄養型の肝不全用栄養剤

肝不全用アミノ酸輸液(注射剤)

代表薬先発品例特徴
肝不全用アミノ酸輸液アミノレバン点滴静注Fischer処方に基づくBCAA高含有アミノ酸輸液。肝性脳症からの覚醒効果
肝不全用アミノ酸輸液モリヘパミン点滴静注慢性肝不全に伴う肝性脳症に使用

侵襲時用アミノ酸輸液(BCAA 30〜36%)

代表薬BCAA含有率特徴
アミゼット31.0%TEO基準に準拠。侵襲時に有用
アミニック35.9%TEO基準に準拠。侵襲時に有用
アミパレン30.0%TEO基準に準拠。侵襲時に有用

④ 看護のポイント(観察事項)

  • 服薬アドヒアランス:リーバクトは1日3回食後服用で継続が必要。味や量の問題で飲みにくい場合はゼリー剤への変更を検討
  • アミノレバンENの服薬支援:甘味が強く苦手な患者には冷やして飲む、水で薄めるなどの工夫を指導
  • 消化器症状の観察:悪心・食欲不振・下痢などの副作用に注意
  • 血中アンモニア値・Fischer比のモニタリング:効果判定の指標として定期的に確認
  • 便秘管理:便秘は肝性脳症の誘因となるため、排便コントロールの重要性を患者に説明
  • 栄養状態の評価:血清アルブミン値、体重変化、浮腫・腹水の有無を継続的に観察
⚠️
肝硬変に伴うたんぱく不耐症に注意:肝硬変患者が高タンパク食を摂ると、アンモニア処理能力を超えて高アンモニア血症・肝性脳症が悪化する。BCAAを多く配合した製剤を用いることで、肝性脳症を悪化させずに必要量のタンパク質を補充できる。
💡
肝硬変の病期に応じた使い分け:代償期にはリーバクト等のBCAA顆粒で低アルブミン血症を改善、非代償期(経口摂取不十分)にはアミノレバンEN・ヘパンED等の経腸栄養剤、肝性脳症の急性期にはアミノレバン・モリヘパミン等の点滴静注で覚醒を促す。