Right Purpose(正しい目的)

正しい目的(Right Purpose)を確認するポイント

薬剤が「なぜ処方されたのか」を理解せずに投与すると、禁忌薬の見逃しや不適切な投与につながります。「6つのR(Right)」の一つとして、投与目的の確認は安全な与薬の土台です。

確認の基本原則

「何のために」「どのような効果を期待して」投与するのかを理解する
処方の意図を把握することで、患者の状態と薬剤の適応が合っているかを判断でき、疑義照会や副作用の早期発見にもつながります。

確認のタイミング

  • 指示受け時:処方の目的・適応疾患を確認し、患者の病態と一致しているか照合
  • 薬剤の準備時:薬効分類・適応を再確認し、「この患者にこの薬が必要な理由」を意識する
  • ダブルチェック時:同僚と目的・適応の妥当性を共有して確認
  • 患者のベッドサイドで:患者に薬の目的を簡潔に説明し、患者自身の理解も得る
  • 投与後:期待した効果が現れているか、副作用がないかを観察・記録

目的を誤りやすい原因

原因のカテゴリ具体例対策
適応外使用の認識不足鎮痛目的で処方された抗うつ薬を「精神疾患がないのに」と疑問に思わず投与、または逆に自己判断で投与しない適応外使用の代表例を学習し、不明な場合は医師に目的を確認する
同名薬の異なる適応アスピリン(解熱鎮痛 vs 抗血小板)、メトトレキサート(抗がん vs 免疫抑制)など、用量や使い方が目的で大きく異なる薬剤名だけでなく、用量・用法から投与目的を推定し、指示内容と照合
患者の病態把握不足アレルギー歴・既往歴を確認せず禁忌薬を投与してしまう投与前に患者情報(診断名・既往歴・アレルギー)を必ず確認
処方意図の伝達不足口頭指示で「とりあえず○○出して」と言われ、目的不明のまま準備する口頭指示でも「何の目的ですか」と必ず確認、復唱する
頓用・臨時薬の混同疼痛時の頓用薬を定時薬と思い込んで投与、発熱時の解熱薬を予防的に投与頓用の条件(「○○時に使用」)を確認し、該当する症状の有無を判断してから投与
複数の診療科からの重複処方整形外科と内科から同系統の鎮痛薬が別々に処方されていることに気づかない処方一覧を横断的に確認し、重複・相互作用をチェック
思い込み・慣れ「この患者はいつもこの薬」と思い込み、処方変更に気づかない毎回処方内容を新鮮な目で確認、変更点に注意する
⚠️
特に注意:目的によって用量が大きく異なる薬剤
メトトレキサート(抗がん:大量 vs 関節リウマチ:少量週1回)、アスピリン(鎮痛:高用量 vs 抗血小板:低用量)など、目的を間違えると用量も大きく誤る危険があります。

ヒヤリハットが発生するポイント

適応外使用を正しく理解する

  • 処方目的が通常の適応と異なる場合、医師の意図を確認し記録する
  • 代表的な適応外使用例(抗うつ薬の鎮痛、β遮断薬の片頭痛予防など)を把握しておく

患者の病態と薬の目的の整合性を確認する

  • 診断名・症状と処方内容が一致しているか、疑問があれば疑義照会する
  • 禁忌・慎重投与に該当しないか確認する

頓用薬・臨時薬の使用条件を明確にする

  • 「いつ」「どのような症状のときに」使用するかを明確にしてから投与する

患者への説明で目的を再確認する

  • 患者に「このお薬は○○のためのお薬です」と伝えることで、自分自身の確認にもなる