抗甲状腺薬
抗甲状腺薬は、甲状腺ホルモンの合成を阻害することで甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)を治療する薬。チオアミド系薬が代表的で、内科的治療の第一選択として広く用いられる。
- 甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)を阻害 → ヨウ素の有機化・カップリング反応を抑制 → T₃・T₄合成↓
- 既に合成・貯蔵されたホルモンには影響しない → 効果発現に1〜3週間かかる
- プロピルチオウラシル(PTU)は末梢でのT₄→T₃変換も阻害(甲状腺クリーゼ時に有用)
- 免疫調節作用(TSH受容体抗体↓)も報告されている
| 代表薬(一般名) | 先発品例 | 特徴 |
|---|---|---|
| チアマゾール(MMI) | メルカゾール® | 第一選択薬。1日1回投与可。作用が強く持続的。催奇形性あり(妊娠初期は避ける) |
| プロピルチオウラシル(PTU) | チウラジール®/プロパジール® | 末梢T₄→T₃変換阻害あり。妊娠初期(〜16週)に使用。重篤な肝障害に注意 |
| ヨウ化カリウム(KI) | ヨウ化カリウム丸® | 大量ヨウ素によるWolff-Chaikoff効果でホルモン合成・分泌↓。術前・クリーゼ補助に使用 |
- 無顆粒球症(重大な副作用)→ 投与開始後2〜3ヶ月以内に好発。発熱・咽頭痛があれば直ちに受診を指導、定期的な血液検査
- 肝機能障害(特にPTU)→ 倦怠感・黄疸・食欲不振の観察、定期的な肝機能検査
- 皮膚症状(発疹・蕁麻疹)→ 比較的多い副作用。軽度なら抗ヒスタミン薬併用で継続可能な場合もある
- 甲状腺機能低下症への移行 → 過量投与で起こりうる。倦怠感・浮腫・寒がり・体重増加の観察
- 服薬アドヒアランス → 自覚症状が改善しても自己中断しないよう指導(再燃リスク)
- 妊娠・授乳 → 妊娠初期はPTU、妊娠中期以降はMMIに切替。授乳中はMMI少量なら可能
- エスケープ現象 → ヨウ化カリウム長期投与で効果が減弱する可能性があることに留意