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アプレピタント

成分名:アプレピタント

分類:制吐薬(NK₁受容体拮抗薬)※主にCINV(薬物療法誘発性悪心・嘔吐)に使用

経口剤

  • イメンドカプセル(80mg・125mg)
  • イメンドセット(アプレピタント+パロノセトロン配合)
  • 用法:抗がん剤投与1日目に125mg、2・3日目に80mg(計3日間)

注射剤(プロドラッグ)

  • プロイメンド点滴静注用150mg(ホスアプレピタント)
  • アプレピタントのプロドラッグ(体内でアプレピタントに変換)
  • 抗がん剤投与1日目に1回投与(経口が困難な場合)

使用時の注意

⚠️ 作用機序の特徴
  • 延髄の嘔吐中枢およびCTZニューロキニンNK₁受容体を遮断
  • 抗がん剤により放出されるサブスタンスPがNK₁受容体を刺激→嘔吐を引き起こす経路をブロック
  • 特に遅延性嘔吐(抗がん剤投与24時間以降)に有効 → 5-HT₃拮抗薬だけでは抑えきれない嘔吐をカバー
  • D₂受容体やセロトニン受容体にはほとんど作用しない → 錐体外路症状のリスクが低い

💡 CINVの3剤併用療法での位置づけ
  • 高度催吐性リスク(HEC)の抗がん剤に対して、標準的な制吐療法は3剤併用
      1. NK₁受容体拮抗薬(アプレピタント)→ 主に遅延性嘔吐
      1. 5-HT₃受容体拮抗薬(パロノセトロン、グラニセトロン等)→ 主に急性嘔吐
      1. デキサメタゾン(副腘皮質ステロイド)→ 両方の嘔吐を補助
  • 4剤目としてオランザピン(非定型抗精神病薬、D₂+5-HT₂拮抗)を追加するレジメンもある(→ 糖尿病患者は禁忌)

🚨 CYP3A4による相互作用(最重要)
  • アプレピタントは CYP3A4の基質であり、かつ阻害薬でもある
  • CYP3A4で代謝される薬剤の血中濃度↑:デキサメタゾン、ベンゾジアゼピン系、イリノテカン等
  • CYP3A4誘導薬(リファンピシン、フェニトイン等)との併用でアプレピタントの効果↓
  • CYP2C9も阻害ワルファリンのINR上昇に注意(出血リスク↑)
  • デキサメタゾンの作用増強 → 併用時はデキサメタゾンの用量を半量に減量することが多い

⚠️ 主な副作用
  • しゃっくり(最も多い)
  • 便秘食欲不振
  • 倒怠感頭痛
  • 重大な副作用はまれだが、アナフィラキシースティーブンス・ジョンソン症候群の報告がある

🚫 禁忌
  • ピモジド(オーラップ)との併用禁忌(CYP3A4阻害によりピモジドの血中濃度↑ → QT延長・不整脈リスク)
  • 本剤の成分に対し過敏症の既往のある患者
🩺

看護師向け:観察事項

💧 制吐効果の観察
  • CINVの種類を意識:急性(24時間以内)と遅延性(24時間以降)の嘔吐を区別して観察
  • 悪心・嘔吐の頻度・程度・タイミングを記録
  • 予期性嘔吐(抵がん剤投与前から出現)にも注意

💊 服薬指導のポイント
  • 1日目:125mg2・3日目:80mg → 用量が日によって異なることを確認
  • 抗がん剤投与の 1時間前 に服用(1日目)、2・3日目は午前中に服用
  • 食事の有無にかかわらず服用可能
  • 嘔吐が強く経口困難な場合 → ホスアプレピタント(プロイメンド)の点滴を検討

⚠️ 相互作用の確認(極めて重要)
  • ワルファリン併用患者 → INRのモニタリング強化(アプレピタント投与期間中+投与後2週間)
  • デキサメタゾンの用量 → 併用時は半量に減量されているか確認
  • CYP3A4に関わる併用薬 → 免疫抑制薬、抗真菌薬、ベンゾジアゼピン系などに注意
  • ピモジド(オーラップ)との併用は禁忌

🤢 副作用の観察
  • しゃっくり:最も多い副作用。脱水につながらないか水分出納を確認
  • 便秘:排便状況の確認、必要時は下剤の使用を検討
  • 食欲不振・倒怠感 → 抗がん剤の副作用との鑑別が必要
  • アナフィラキシーの徴候:皮疑、呼吸困難、血圧低下など(稀だが重大)

📝 CINV制吐療法の全体像
  • アプレピタントは単剤では使用しない → 5-HT₃拮抗薬、デキサメタゾンとの3剤併用が基本
  • 制吐療法のレジメンは抗がん剤の催吐性リスク分類(HEC / MEC / LEC / minimal)によって決まる
  • HEC(シスプラチン等)にはNK₁拮抗薬が必須、MECでは症例により追加