吸入配合剤(喘息)
喘息治療で最も広く使用される配合剤。ICSの抗炎症作用とLABAの気管支拡張作用を併せ持つ。
| 商品名 | ICS成分 | LABA成分 | デバイス | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| アドエア® | フルチカゾンプロピオン酸エステル(FP) | サルメテロール | ディスカス(DPI)/エアゾール(pMDI) | 最も歴史のある配合剤。1日2回吸入。維持療法のみ |
| シムビコート® | ブデソニド | ホルモテロール | タービュヘイラー(DPI) | SMART療法が可能(維持+発作時の追加吸入)。ホルモテロールは速効性もあるため |
| フルティフォーム® | フルチカゾンプロピオン酸エステル(FP) | ホルモテロール | エアゾール(pMDI) | pMDI型で吸気力が弱い患者にも使いやすい。1日2回吸入 |
| レルベア® | フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF) | ビランテロール | エリプタ(DPI) | 1日1回吸入で済む。操作が簡便。アドヒアランス良好 |
| アテキュラ® | モメタゾン | インダカテロール | ブリーズヘラー(DPI) | 1日1回吸入。カプセル式で吸入確認がしやすい |
SMART療法(Single Maintenance And Reliever Therapy):シムビコート®を維持療法として毎日使用しつつ、発作時にも同じ吸入器で追加吸入する方法。ホルモテロールが速効性を持つため可能。リリーバーとコントローラーを1本で兼ねる。
ICS/LABA配合剤のポイント
- LABA単独は喘息では禁忌(喘息死リスク増加)→ 必ずICSと併用する必要があるため、配合剤が推奨される
- ICS/LABA配合剤はステップ2〜4の長期管理に使用される
- デバイスによって吸入手技が異なるため、患者ごとに適切なデバイスを選択する
3つの作用機序を1つのデバイスに集約した最新の配合剤。
| 商品名 | ICS成分 | LABA成分 | LAMA成分 | デバイス | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| テリルジー® | フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF) | ビランテロール | ウメクリジニウム | エリプタ(DPI) | 1日1回。喘息・COPDの両方に適応。操作簡便 |
| エナジア® | モメタゾン | インダカテロール | グリコピロニウム | ブリーズヘラー(DPI) | 1日1回。カプセル式。喘息に適応 |
| ビレーズトリ® | ブデソニド | ホルモテロール | グリコピロニウム | エアロスフィア(pMDI) | pMDI型。現在は主にCOPD適応 |
トリプル配合剤のポイント
- ICS/LABAでコントロール不十分な場合にステップアップとして使用
- LAMAの追加でさらなる気管支拡張効果が得られる
- 吸入回数が1日1回の製剤が多く、服薬負担の軽減に寄与
| デバイス種類 | 略称 | 代表例 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ドライパウダー吸入器 | DPI | ディスカス、タービュヘイラー、エリプタ、ブリーズヘラー | 患者自身の吸気力で薬剤を吸入。十分な吸気力が必要。噴射のタイミング合わせ不要 |
| 加圧定量噴霧吸入器 | pMDI | エアゾール(フルティフォーム®など) | ガスの力で噴霧。吸気力が弱くても使用可能。噴射と吸入のタイミング合わせが必要(スペーサー併用で改善) |
デバイス選択のポイント
- 吸気力が十分 → DPIが使いやすい
- 吸気力が弱い(高齢者・小児・重症発作時) → pMDI+スペーサー
- 操作の簡便さ → エリプタ(ワンアクション)が最もシンプル
- 吸入確認 → ブリーズヘラー(カプセルが空になる)
- 吸入手技の確認・指導:デバイスごとに手技が異なるため、処方変更時は必ず再指導
- 吸入後のうがい:ICS含有のため、口腔カンジダ症・嗄声の予防に必須
- SMART療法使用時の指導:シムビコート®を使用する場合、1日の最大吸入回数(通常8吸入/日)を超えないよう指導
- 過剰使用のモニタリング:追加吸入が頻回な場合はコントロール不良のサイン → 受診を促す
- デバイスの保管・管理:DPIは湿気に弱い、pMDIは振ってから使用、残量確認の方法を指導
- アドヒアランスの確認:1日1回製剤(レルベア®・テリルジー®など)は飲み忘れが少ないが、毎日同じ時間に使用するよう指導
- 副作用の観察:
- ICS由来:口腔カンジダ、嗄声
- LABA由来:動悸、振戦、頻脈
- LAMA由来:口渇、排尿障害(前立腺肥大)、緑内障悪化
- スペーサーの使用:pMDI使用時は吸入タイミングが合わない患者にスペーサーの使用を検討