ホスホジエステラーゼ5阻害薬(PDE5阻害薬)/肺高血圧症
PAHの治療は3つの経路をターゲットとした薬剤を組み合わせる併用療法が基本。
| 経路 | 薬剤 | 作用 |
|---|---|---|
| NO-cGMP経路 | PDE5阻害薬(シルデナフィル、タダラフィル) | cGMP分解抑制 → 肺血管拡張 |
| NO-cGMP経路 | sGC刺激薬(リオシグアト:アデムパス®) | sGCを直接刺激 → cGMP産生↑ |
| エンドセリン経路 | ERA(アンブリセンタン、ボセンタン、マシテンタン) | エンドセリン受容体拮抗 → 血管収縮・増殖抑制 |
| プロスタサイクリン経路 | PGI₂製剤(エポプロステノール等) IP受容体作動薬(セレキシパグ) | 血管拡張・血小板凝集抑制・血管リモデリング抑制 |
PDE5阻害薬とsGC刺激薬(リオシグアト)の併用は禁忌!
- 両者ともNO-cGMP経路を増強するため、併用すると過度の血圧低下を引き起こす
- 同じ経路の薬剤は「PDE5阻害薬 or sGC刺激薬」のいずれかを選択
- 血圧モニタリング:PDE5阻害薬は体血圧も低下させるため、起立性低血圧・めまい・ふらつきに注意。特に投与開始時
- 硝酸薬の併用確認:狭心症治療中の患者が硝酸薬を使用していないか必ず確認(併用禁忌)
- 服薬アドヒアランス:レバチオ®は1日3回で飲み忘れが起きやすい → 服薬時間の工夫・確認
- 副作用の観察:
- 頭痛、顔面紅潮、消化不良(血管拡張作用による)
- 視覚異常(色覚変化)の有無
- 鼻出血・鼻閉
- 運動耐容能の評価:PAH患者では6分間歩行試験(6MWT)やWHO機能分類で治療効果を評価
- 右心不全徴候の観察:頸静脈怒張、下肢浮腫、肝腫大、体重増加 → 悪化時は速やかに報告
- 他剤との相互作用確認:CYP3A4阻害薬・α遮断薬・降圧薬との併用に注意
- 患者教育:ED治療薬と同成分であることから心理的抵抗がある患者もいる → 作用機序と目的が異なることを丁寧に説明