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経皮吸収経路

経皮吸収経路の特徴(経皮吸収型製剤)

① 概要

経皮吸収型製剤(TTS: Transdermal Therapeutic System)は、皮膚から薬物を吸収させ、全身循環へ送達する製剤。貼付剤(パッチ剤)として皮膚に貼り、薬物を持続的かつ一定速度で放出する。初回通過効果の回避持続的な血中濃度維持が可能であり、アドヒアランスの向上にも寄与する。

② 経皮吸収の仕組み

  • 薬物は皮膚の角質層を透過して真皮の毛細血管に到達し、全身循環に入る
  • 主な透過経路:
    • 細胞間脂質経路(角質細胞間の脂質二重層を通過)← 主要経路
    • 経付属器官経路(毛嚢・汗腺を通過)
  • 薬物の皮膚透過性は一般に、分子量が小さく、脂溶性が高いほど良好
  • 製剤には、マトリックス型(薬物を基剤に分散)とリザーバー型(薬物貯蔵層+放出制御膜)がある

③ メリットとデメリット

メリット

  • 初回通過効果を回避 → 肝代謝を受けにくく、経口投与より少量で効果が得られる場合がある
  • 血中濃度の持続的維持 → 急激なピークや谷が少なく、副作用軽減・効果安定
  • アドヒアランス向上 → 貼るだけで済み、嚥下困難な患者や高齢者にも適する
  • 投与中止が容易 → 剥がせば吸収を止められる(ただし即座にゼロにはならない)
  • 消化管障害の回避 → 胃腸への直接刺激がない

デメリット

  • 皮膚刺激・接触性皮膚炎 → 発赤・かゆみ・かぶれが起こりうる
  • 吸収速度の個人差 → 皮膚の状態(厚さ・含水量・温度・血流)により変動
  • 適用可能な薬物が限定的 → 分子量が大きい薬物や水溶性の高い薬物は透過しにくい
  • 効果発現が遅い → 最高血中濃度到達まで時間がかかることがある
  • 貼付部位の制約 → 体毛が少なく平坦で、衣服との摩擦が少ない部位を選ぶ必要がある

④ 代表的な経皮吸収型製剤(例)

薬物(一般名)製品例適応・用途
ツロブテロールホクナリンテープ®気管支喘息・COPD(β₂刺激薬)
フェンタニルデュロテップMTパッチ®、フェントステープ®がん性疼痛・慢性疼痛(オピオイド)
ニトログリセリンミリステープ®狭心症(硝酸薬)
エストラジオールエストラーナテープ®更年期障害・骨粗鬆症(HRT)
リバスチグミンイクセロンパッチ®、リバスタッチパッチ®アルツハイマー型認知症(ChE阻害薬)
ビソプロロールビソノテープ®高血圧(β₁遮断薬)
ロチゴチンニュープロパッチ®パーキンソン病(ドパミンアゴニスト)
ニコチンニコチネルTTS®禁煙補助

⑤ 看護・服薬指導のポイント(観察事項)

  • 貼付部位の選択と管理:清潔で乾燥した皮膚に貼付し、毎回貼付部位を変える(皮膚障害予防)
  • 皮膚症状の観察:発赤・かゆみ・水疱・かぶれの有無を確認
  • 貼付方法:しわや折れなく密着させる。入浴後は十分に乾かしてから貼付
  • 温度による吸収変動:入浴・電気毛布・カイロ等で温度上昇 → 吸収促進/過量投与に注意(特にフェンタニルなど)
  • 重複貼付の防止:貼付日時・部位を記録し、剥がし忘れを防ぐ
  • 使用済みの廃棄:接着面を内側に折りたたんで廃棄(小児・ペットの誤用防止)
  • MRI検査時金属を含む製剤は、やけどの原因となるため事前に除去が必要な場合がある