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GIP/GLP-1受容体作動薬

GIP/GLP-1受容体作動薬(デュアルアゴニスト)

① 薬効群の概要

GIP/GLP-1受容体作動薬は、2つのインクレチン受容体(GIP受容体GLP-1受容体)の両方に作用するデュアルアゴニスト。GLP-1受容体作動薬単独よりもさらに強力な血糖降下・体重減少効果が期待できる。糖尿病治療薬および肥満症治療薬として承認されている。

② 作用機序

  • GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)GLP-1の両方の受容体を活性化
  • GIPとGLP-1の相加的な作用により:
    • 血糖依存的なインスリン分泌促進(GIP + GLP-1の両方の経路)
    • グルカゴン分泌の抑制
    • 胃排出の遅延
    • 食欲抑制(中枢性)→ 大幅な体重減少
  • GLP-1受容体作動薬単独よりも強力な効果が得られる理由:GIPを介したインスリン分泌促進が上乗せされる

③ 代表薬

一般名商品名投与頻度用量
チルゼパチドマンジャロ®(糖尿病) ゼップバウンド®(肥満症)週1回皮下注射糖尿病:2.5mgから開始、最大15mg 肥満症:2.5mgから開始、最大15mg

糖尿病治療と肥満症治療の違い

マンジャロ®(糖尿病)ゼップバウンド®(肥満症)
適応2型糖尿病肥満症(BMI≥35、またはBMI≥27 + 合併症)
目的血糖コントロール体重減少
用量2.5〜15mg/週2.5〜15mg/週
保険適用ありあり(条件あり)

④ 臨床試験のエビデンス

SURPASS試験(糖尿病)

  • チルゼパチド vs セマグルチド・インスリン・プラセボなどを比較
  • HbA1c低下:最大2.58%の低下(既存薬で最強)
  • 体重減少:最大約12.4kgの減少

SURMOUNT試験(肥満症)

  • 肥満症患者に対し、72週で約20〜25%の体重減少を達成
  • 心血管リスクの低減も報告

⑤ 看護のポイント(観察事項)

  • 消化器症状(最も多い副作用) → 悪心・嘔吐・下痢・便秘・食欲低下。特に投与初期や増量時に多い。少量(2.5mg)から開始、4週間ごとに漸増することで軽減
  • 急性膵炎 → 激しい腹痛(上腹部から背部への放散痛)・嘔吐があれば直ちに服薬中止・受診
  • 甲状腺髄様癌 → 動物実験で報告。甲状腺髄様癌の家族歴・MEN2の既往がある場合は禁忌
  • 低血糖 → 単独では起こしにくいが、SU薬やインスリンとの併用時はリスクあり。併用薬の減量を検討
  • 自己注射の指導 → ペン型注入器の操作方法。毎週同じ曜日に投与(時刻は問わない)。食事に関係なく投与可能。注射部位のローテーション
  • 打ち忘れ時の対応 → 次の投与予定日まで3日以上あれば気づいた時点で投与。3日未満なら次の予定日に投与
  • 保管方法 → 未使用:冷蔵庫(2〜8℃)。使用中:室温保管可(21日以内)。凍結禁止
  • 体重変動の観察 → 大幅な体重減少が期待されるが、過度の体重減少や栄養不良に注意。筋肉量の低下(サルコペニア)にも留意
  • 服薬アドヒアランス → 消化器症状による自己中断を防ぐ。治療の意義と副作用の見通しを丁寧に説明
📊

GLP-1受容体作動薬との比較

GLP-1受容体作動薬(セマグルチド)GIP/GLP-1受容体作動薬(チルゼパチド)
作用受容体GLP-1のみGIP + GLP-1の両方
HbA1c低下強力最も強力
体重減少強力最も強力
消化器症状多い同程度(漸増で軽減)
投与頻度週1回注射週1回注射
肥満症適応○(ウゴービ®)○(ゼップバウンド®)