チアゾリジン誘導薬
チアゾリジン誘導薬は、核内受容体PPARγを活性化してインスリン抵抗性を改善する薬。インスリンの効きを良くすることで血糖を低下させる「インスリン抵抗性改善薬」。現在使用されるのはピオグリタゾンのみ。
- 脂肪細胞の核内受容体PPARγ(ペルオキシソーム增殖因子活性化受容体γ)を活性化
- 脂肪細胞の分化を促進 → 小型脂肪細胞↑(インスリン感受性が高い)、大型脂肪細胞↓(インスリン抵抗性の原因)
- アディポネクチン分泌↑ → インスリン感受性改善
- TNF-αなどの炎症性サイトカイン↓ → インスリン抵抗性改善
- 結果として、筋肉・肝臓などでのインスリンの効きが良くなる → 血糖低下
- インスリン分泌を促進しない → 単独では低血糖リスクが低い
- 効果発現に2〜4週間かかる(脂肪細胞の分化を介するため)
| 代表薬(一般名) | 先発品例 | 特徴 |
|---|---|---|
| ピオグリタゾン | アクトス® | 現在唯一使用されるチアゾリジン薬。1日1回、15〜45mg。インスリン抵抗性が強い肥満型2型糖尿病に有用 |
- ※トログリタゾン(ノスカール®)は肝障害のため販売中止
- ※ロシグリタゾン(アバンディア®)は心血管リスクの懸念から欧米で販売制限
- 体重増加(最も多い副作用) → 脂肪細胞の分化促進 + 水分貯留による。平均約2〜3kgの体重増加。食事療法・運動療法の継続が重要
- 浮腫 → 水分・ナトリウム貯留による。下肢の浮腫の観察。体重の定期測定
- 心不全の悪化(重要) → 体液貯留により心不全が悪化する可能性。心不全患者には禁忌(NYHAⅢ〜Ⅳ)。息切れ・動悸・足の浮腫の観察
- 骨折リスク↑ → 特に閉経後女性で骨密度低下・骨折リスクが上昇。骨粗鬆症の既往がある患者は注意
- 肝機能障害 → 定期的な肝機能検査。倦怠感・黄疸の観察
- 膀胱癌のリスク → ピオグリタゾンと膀胱癌の関連が指摘されている(因果関係は未確立)。血尿の観察
- 効果発現に時間がかかる → 2〜4週間程度。「効かない」と早期に自己中断しないよう指導
- 低血糖 → 単独では起こしにくいが、SU薬やインスリンとの併用時はリスクあり
- 服薬アドヒアランス → 体重増加・浮腫による自己中断を防ぐ。食事療法・運動療法の継続が体重管理に重要であることを説明