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下垂体ホルモン関連薬

下垂体ホルモン関連薬

① 薬効群の概要

下垂体から分泌されるホルモンを補充・模倣・抑制する薬の総称。下垂体前葉ホルモン(GH・ACTH・TSH・LH/FSH・プロラクチン)と下垂体後葉ホルモン(ADH・オキシトシン)に関連する薬剤が含まれる。

② 下垂体ホルモンの概要

前葉ホルモン

ホルモン標的臓器主な作用
GH(成長ホルモン)肝臓・骨・筋肉成長促進・IGF-1産生↑・代謝調節
ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)副腎皮質コルチゾール分泌促進
TSH(甲状腺刺激ホルモン)甲状腺T₃・T₄分泌促進
LH・FSH(性腺刺激ホルモン)精巣・卵巣性ホルモン産生・排卵・精子形成
プロラクチン乳腺乳汁分泌促進

後葉ホルモン

ホルモン標的臓器主な作用
ADH(バソプレシン)腎集合管・血管水再吸収↑(抗利尿)・血管収縮
オキシトシン子宮・乳腺子宮収縮・射乳反射

③ 代表薬と分類

1️⃣ 成長ホルモン(GH)関連薬

分類代表薬作用機序主な適応注意点
GH製剤(補充)ソマトロピン(ジェノトロピン®) ソマプシタン(ノルディトロピン®)GHを補充 → IGF-1↑ → 成長促進・代謝改善成長ホルモン分泌不全性低身長症・Turner症候群・SGA性低身長症・成人のGH分泌不全自己注射(毎日または週数回)。高血糖・頭痛・関節痛。活動性悪性腫瘍には禁忌
長時間作用型GHソマプシタン(ソグローヤ®) ロノソマトロピン(ナグラジャイム®)同上。長時間作用により注射頻度を削減同上週1回の注射で済む。アドヒアランス向上
GH受容体拮抗薬ペグビソマント(ソマバート®)GH受容体を阻害 → IGF-1産生↓先端巨大症(ソマトスタチンアナログが無効の場合)肝機能障害。注射部位反応

2️⃣ ゴナドトロピン(LH・FSH)製剤

代表薬作用機序主な適応注意点
hMG製剤(HMGフェリン®等)FSH + LHを直接補充 → 卵胞発育促進排卵誘発(不妊治療)OHSS(卵巣過剰刺激症候群)・多胎妊娠
FSH製剤(ゴナールF®等)組換えFSHを補充 → 卵胞発育促進排卵誘発(不妊治療・ART)同上
hCG製剤(オビドレル®等)LHサージ代替 → 排卵誘発・黄体補充排卵誘発・黄体機能補充OHSSのリスク↑
  • 主に不妊治療の排卵誘発に使用される

3️⃣ ADH(バソプレシン)関連薬

分類代表薬作用機序主な適応注意点
ADH補充(V₂作動)デスモプレシン(デスモプレシン®)V₂受容体作動 → 腎集合管での水再吸収↑中枢性尿崩症・夜尿症水中毒(低ナトリウム血症)。過剰な水分摂取を避ける
V₂拮抗薬トルバプタン(サムスカ®)V₂受容体拮抗 → 水再吸収↓(水利尿)SIADH・多発性嚢胞腎・心不全の体液管理急速な血清Na上昇による浸透圧性脱髄症候群のリスク。入院下で開始
V₁作動薬バソプレシン(ピトレシン®)V₁受容体作動 → 血管収縮・止血食道静脈瘤出血・手術中の昇圧薬冠動脈収縮(狭心症)・腸管虚血

4️⃣ オキシトシン関連薬

代表薬作用機序主な適応注意点
オキシトシン(アトニン-O®等)子宮平滑筋収縮促進分娩誘発・分娩促進・産後子宮収縮不全(弛緩出血)過強陣縮(子宮破裂のリスク)。心拍モニタリング必須。水中毒
オキシトシン受容体拮抗薬 アトシバン(アトシバン®)オキシトシン受容体を阻害 → 子宮収縮抑制切迫早産悪心・嘔吐・頭痛

5️⃣ ACTH関連薬

代表薬作用機序主な適応
テトラコサクチド(コートロシン®)合成ACTH。副腎皮質を刺激 → コルチゾール分泌↑副腎皮質機能検査(診断目的)・小児の難治性てんかん(West症候群)

④ 看護のポイント(観察事項)

  • GH製剤使用時 → 自己注射の指導(小児では保護者へ)。注射部位のローテーション。成長曲線の定期的な評価。血糖値・IGF-1のモニタリング
  • ゴナドトロピン製剤使用時 → OHSSの早期発見(腹部膨満・腹痛・体重急増・尿量減少)。多胎妊娠のリスク説明
  • デスモプレシン使用時 → 水中毒(低ナトリウム血症)のリスク。過剰な水分摂取を避けるよう指導。体重・尿量のモニタリング。小児の夜尿症では就寝前の水分制限を指導
  • トルバプタン使用時 → 急速な血清Na上昇に注意(浸透圧性脱髄症候群)。入院下で開始。血清Naの頻回測定。口渇感が強いため自由飲水を確保
  • オキシトシン使用時 → 子宮収縮の頻度・強度・持続時間の観察。胎児心拍モニタリング。過強陣縮による子宮破裂のリスク。水中毒のリスク(大量投与時)
  • アトシバン使用時 → 切迫早産の子宮収縮抑制の観察。悪心・嘔吐・頭痛の観察
  • 服薬アドヒアランス → GH製剤は小児では長期にわたる自己注射が必要。子ども・保護者への丁寧な指導と心理的サポート