下垂体ホルモン関連薬
下垂体から分泌されるホルモンを補充・模倣・抑制する薬の総称。下垂体前葉ホルモン(GH・ACTH・TSH・LH/FSH・プロラクチン)と下垂体後葉ホルモン(ADH・オキシトシン)に関連する薬剤が含まれる。
前葉ホルモン
| ホルモン | 標的臓器 | 主な作用 |
|---|---|---|
| GH(成長ホルモン) | 肝臓・骨・筋肉 | 成長促進・IGF-1産生↑・代謝調節 |
| ACTH(副腎皮質刺激ホルモン) | 副腎皮質 | コルチゾール分泌促進 |
| TSH(甲状腺刺激ホルモン) | 甲状腺 | T₃・T₄分泌促進 |
| LH・FSH(性腺刺激ホルモン) | 精巣・卵巣 | 性ホルモン産生・排卵・精子形成 |
| プロラクチン | 乳腺 | 乳汁分泌促進 |
後葉ホルモン
| ホルモン | 標的臓器 | 主な作用 |
|---|---|---|
| ADH(バソプレシン) | 腎集合管・血管 | 水再吸収↑(抗利尿)・血管収縮 |
| オキシトシン | 子宮・乳腺 | 子宮収縮・射乳反射 |
1️⃣ 成長ホルモン(GH)関連薬
| 分類 | 代表薬 | 作用機序 | 主な適応 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| GH製剤(補充) | ソマトロピン(ジェノトロピン®) ソマプシタン(ノルディトロピン®) | GHを補充 → IGF-1↑ → 成長促進・代謝改善 | 成長ホルモン分泌不全性低身長症・Turner症候群・SGA性低身長症・成人のGH分泌不全 | 自己注射(毎日または週数回)。高血糖・頭痛・関節痛。活動性悪性腫瘍には禁忌 |
| 長時間作用型GH | ソマプシタン(ソグローヤ®) ロノソマトロピン(ナグラジャイム®) | 同上。長時間作用により注射頻度を削減 | 同上 | 週1回の注射で済む。アドヒアランス向上 |
| GH受容体拮抗薬 | ペグビソマント(ソマバート®) | GH受容体を阻害 → IGF-1産生↓ | 先端巨大症(ソマトスタチンアナログが無効の場合) | 肝機能障害。注射部位反応 |
5️⃣ ACTH関連薬
| 代表薬 | 作用機序 | 主な適応 |
|---|---|---|
| テトラコサクチド(コートロシン®) | 合成ACTH。副腎皮質を刺激 → コルチゾール分泌↑ | 副腎皮質機能検査(診断目的)・小児の難治性てんかん(West症候群) |
- GH製剤使用時 → 自己注射の指導(小児では保護者へ)。注射部位のローテーション。成長曲線の定期的な評価。血糖値・IGF-1のモニタリング
- ゴナドトロピン製剤使用時 → OHSSの早期発見(腹部膨満・腹痛・体重急増・尿量減少)。多胎妊娠のリスク説明
- デスモプレシン使用時 → 水中毒(低ナトリウム血症)のリスク。過剰な水分摂取を避けるよう指導。体重・尿量のモニタリング。小児の夜尿症では就寝前の水分制限を指導
- トルバプタン使用時 → 急速な血清Na上昇に注意(浸透圧性脱髄症候群)。入院下で開始。血清Naの頻回測定。口渇感が強いため自由飲水を確保
- オキシトシン使用時 → 子宮収縮の頻度・強度・持続時間の観察。胎児心拍モニタリング。過強陣縮による子宮破裂のリスク。水中毒のリスク(大量投与時)
- アトシバン使用時 → 切迫早産の子宮収縮抑制の観察。悪心・嘔吐・頭痛の観察
- 服薬アドヒアランス → GH製剤は小児では長期にわたる自己注射が必要。子ども・保護者への丁寧な指導と心理的サポート