GLP-1受容体作動薬
GLP-1受容体作動薬は、インクレチンホルモンであるGLP-1の受容体に直接結合し、血糖依存的にインスリン分泌を促進する薬。DPP-4で分解されにくい構造を持ち、強力かつ持続的に作用する。体重減少効果・心血管保護効果もあり、肥満症治療薬としても承認されている製剤がある。
- GLP-1受容体に直接結合 → 以下の作用を発揮:
- 血糖依存的なインスリン分泌促進(血糖が高いときのみ作用 → 低血糖リスクが低い)
- グルカゴン分泌の抑制 → 肝臓からの糖放出↓
- 胃排出の遅延 → 食後血糖の上昇を抑制
- 食欲抑制(中枢性)→ 視床下部の満腹中枢に作用
- DPP-4で分解されにくい構造 → 長時間作用(週1回製剤も)
- 体重減少効果 + 心血管保護効果 + 腎保護効果が報告されている製剤がある
| 代表薬(一般名) | 先発品例 | 投与頻度 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| リラグルチド | ビクトーザ® | 1日1回皮下注射 | 食欲抑制・体重減少効果。肥満症にも使用(サクセンダ® 3.0mg) |
| デュラグルチド | トルリシティ® | 週1回皮下注射 | 0.75mgまたは1.5mg。アテオス型自動注射器で簡便 |
| セマグルチド | オゼンピック® | 週1回皮下注射 | 心血管イベント抑制効果(SUSTAIN試験)。肥満症治療薬(ウゴービ® 2.4mg)としても承認 |
| リキシセナチド | リキスミア® | 1日1回皮下注射 | 短時間作用型。食後血糖の改善に優れる |
| エキセナチド | バイエッタ® | 1日2回皮下注射 | 短時間作用型。食前に投与 |
| セマグルチド(経口) | リベルサス® | 1日1回経口 | 世界初の経口GLP-1受容体作動薬。起床時に空腹で水(120mL以下)で服用。服用後30分は飲食禁止 |
GIP/GLP-1受容体作動薬(デュアルアゴニスト)
| 代表薬 | 先発品例 | 投与頻度 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| チルゼパチド | マンジャロ® | 週1回皮下注射 | GIP + GLP-1の両方に作用。最も強力な血糖降下・体重減少。肥満症治療薬(ゼップバウンド®)としても承認 |
- 消化器症状(最も多い副作用) → 悪心・嘔吐・下痢・便秘。特に投与初期に多い。少量から開始し漸増することで軽減。「続けることで改善する」ことを説明
- 急性膵炎(重大な副作用) → 激しい腹痛(上腹部から背部への放散痛)・嘔吐があれば直ちに服薬中止・受診。膵炎の既往がある患者は注意
- 甲状腺髄様癌 → 動物実験で報告。甲状腺髄様癌の家族歴・MEN2の既往がある場合は禁忌
- 自己注射の指導(注射製剤)→ ペン型注入器の操作方法・空打ち確認・注射部位のローテーション・保管方法(未使用:冷蔵、使用中:室温)
- 経口セマグルチド(リベルサス®)の服薬指導 → 起床時に空腹で水(120mL以下)で服用。服用後30分以上は飲食・他の薬を避ける。吸収が非常に影響されやすいため、服薬条件の徹底指導が重要
- 体重変動の観察 → 体重減少効果があるが、過度の体重減少や栄養不良に注意
- 低血糖 → 単独では起こしにくいが、SU薬やインスリンとの併用時はリスクあり
- 服薬アドヒアランス → 消化器症状による自己中断を防ぐ。治療の意義(血糖コントロール・体重減少・心血管保護)を説明