EPA/DHA製剤
イコサペント酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)を有効成分とするω3系多価不飽和脂肪酸製剤。主にTG低下作用を有し、抗炎症作用・抗血小板作用も併せ持つ。EPA単独製剤で心血管イベント抑制のエビデンスが確立されている。
- 肝臓でのTG合成抑制 → VLDL産生低下 → TG低下
- リポタンパクリパーゼ(LPL)活性化 → TGに富むリポタンパクの分解促進
- 抗血小板作用:TXA₂(血小板凝集促進)の産生抑制・PGI₃の産生促進(特にEPA)
- 抗炎症作用:アラキドン酸カスケードを競合的に抑制。EPAからレゾルビン、DHAからプロテクチン(炎症収束性メディエーター)を産生
- プラーク安定化:血管内膜機能改善、動脈硬化プラークの安定化に寄与
| 代表薬(一般名) | 先発品例 | 特徴 |
|---|---|---|
| イコサペント酸エチル | エパデール® | EPA単独製剤。心血管イベント抑制のエビデンス豊富(JELIS・REDUCE-IT)。閉塞性動脈硬化症にも適応 |
| ω3脂肪酸エチル | ロトリガ® | EPA+DHA配合製剤。TG低下効果がやや強い。心血管イベント抑制のエビデンスは限定的(STRENGTH試験) |
| EPA | DHA | |
|---|---|---|
| 抗血小板作用 | 強い(TXA₂産生抑制) | 弱い |
| 抗炎症作用 | 強い(レゾルビン産生) | あり(プロテクチン産生) |
| 心血管保護のエビデンス | 豊富(JELIS・REDUCE-IT) | 単独では限定的 |
| 試験名 | 薬剤 | 結果 |
|---|---|---|
| JELIS(日本) | EPA 1,800 mg/日 | スタチンにEPA上乗せ。主要冠動脈イベントを19%有意に低下 |
| REDUCE-IT | EPA 4 g/日 | 高TG血症患者でMACEを25%有意に低下。EPAの心血管保護効果を強く支持 |
| STRENGTH | EPA+DHA 4 g/日 | MACEの有意な低下は示されず。EPA単独との違いが議論の対象 |
- 食直後の服用が原則 → 空膀時は吸収が低下するため、必ず食直後に服用
- 出血傾向の観察 → 皮下出血・歯肉出血・鼻出血・血尿など。特に抗凝固薬・抗血小板薬併用時はリスク↑
- 手術前の休薬確認(7〜14日前)→ 出血リスクを考慮し、主治医に確認
- 消化器症状(魚臭・悪心・下痢)→ カプセルを冷やして服用すると魚臭が軽減
- 服用回数が1日2〜3回でカプセル数が多い → アドヒアランスの確認が重要
- 魚アレルギーのある患者では注意(魚油由来の製剤)