ニコチン酸系薬
ニコチン酸(ナイアシン)の誘導体で、TG低下・LDL-C低下・HDL-C上昇という幅広い脂質改善効果を持つ。HDL-C上昇作用が最も強い脂質低下薬の一つ。ただし顔面紅潮(フラッシング)などの副作用が高頻度で、現在は使用頻度が低下している。
- 肝臓のジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)を抑制 → TG合成抑制 → VLDL産生↓
- VLDL産生低下 → VLDL由来のLDL産生も低下 → LDL-C低下
- 肝臓でのアポリポタンパクA-Iの異化抑制 → HDLの半減期延長 → HDL-C上昇
- 脂肪組織でのホルモン感受性リパーゼ抑制 → 遊離脂肪酸の動員↓ → 肝臓へのTG原料供給↓
| 代表薬(一般名) | 先発品例 | 特徴 |
|---|---|---|
| ニコモール | コレキサミン® | ニコチン酸エステル。3つのニコチン酸分子を持つ。TG↓・LDL-C↓・HDL-C↑ |
| ニセリトロール | ペリシット® | ニコチン酸エステル。フラッシングがやや少ないとされる。末梢血管拡張作用あり |
| トコフェロールニコチン酸エステル | ユベラ® | トコフェロールとの配合剤。末梢血行障害の改善にも使用 |
| 指標 | 効果 | 備考 |
|---|---|---|
| TG | 20〜30%低下 | |
| LDL-C | 10〜20%低下 | |
| HDL-C | 15〜30%上昇 | HDL-C上昇作用が最も強い脂質低下薬の一つ |
| Lp(a) | 低下 | Lp(a)を低下させる数少ない薬剤 |
- 顔面紅潮(フラッシング)(最も多い)→ プロスタグランジン介在性の皮膚血管拡張。顔面・上半身のほてり・紅潮。服用継続で耐性ができることが多い
- 消化器症状:悪心・嘘吐・腹痛・下痢
- 肝機能障害:AST・ALT上昇 → 定期的な肝機能モニタリングが必要
- 耐糖能異常・血糖上昇:糖尿病患者では血糖コントロールが悪化することがある
- 高尿酸血症・痛風誘発:尿酸値上昇に注意
- 筋症状:スタチン併用時は横紋筋融解症のリスクに注意
- フラッシングの説明 → 服用初期に顔面・上半身のほてり・紅潮が高頻度に出現するが、継続で耐性ができることを事前に患者に説明し、自己判断で中止しないよう指導
- フラッシングの軽減策:食後に服用、少量から漸増、アスピリンの30分前服用で軽減される場合あり
- 肝機能の定期モニタリング(AST・ALT)
- 血糖値の観察 → 糖尿病患者では血糖コントロールの悪化に注意
- 尿酸値の確認 → 高尿酸血症・痛風の既往がある患者では特に注意
- 現在は使用頻度が低い薬剤 → 他の脂質低下薬で効果不十分な場合や、低HDL-C血症が主体の場合に選択されることがある