PCSK9阻害薬
PCSK9(Proprotein Convertase Subtilisin/Kexin type 9)を標的とする製剤。肝細胞表面のLDL受容体の分解を抑制し、LDL受容体のリサイクルを促進することで血中LDL-Cを大幅に低下させる。スタチンやエゼチミブで十分なLDL-C低下が得られないFHや心血管イベント高リスク例に使用。
- 通常、肝細胞表面のLDL受容体はLDL粒子を取り込み後リサイクルされる
- PCSK9がLDL受容体に結合 → リソソームで分解 → LDL受容体数↓ → 血中LDL-C↑
- PCSK9阻害薬がPCSK9に結合しLDL受容体への結合を阻止 → LDL受容体のリサイクル促進 → LDL受容体数↑ → LDL-C大幅低下
- スタチンは代償的にPCSK9発現も↑させるため、併用で相乗効果が得られる
| 代表薬(一般名) | 先発品例 | 特徴 |
|---|---|---|
| エボロクマブ | レパーサ® | 抗PCSK9モノクローナル抗体(IgG2)。2週または4週に1回皮下注射。FOURIER試験でMACE 15%低下 |
| アリロクマブ | プラルエント® | 抗PCSK9モノクローナル抗体(IgG1)。2週に1回皮下注射。ODYSSEY OUTCOMES試験でMACE 15%低下 |
| インクリシラン | レクビオ® | PCSK9を標的とするsiRNA。初回・3ヶ月後、以降6ヶ月に1回の皮下注射。アドヒアランス改善が期待 |
| 試験名 | 薬剤 | 結果 |
|---|---|---|
| FOURIER | エボロクマブ | 動脈硬化性心血管疾患既往例でMACEを15%有意に低下。LDL-C中央値30 mg/dLへ |
| ODYSSEY OUTCOMES | アリロクマブ | ACS後の患者でMACEを15%有意に低下 |
| ORION-10/11 | インクリシラン | 6ヶ月に1回投与でLDL-Cを約50%低下 |
- 自己注射指導 → 注射手技(部位の消毒・皮下注射の角度・廃棄方法)、オートインジェクターの操作を丁寧に指導
- 注射部位反応の観察 → 発赤・腫脹・疼痛が出やすい。注射部位のローテーション(腹部・大腿・上腕)を指導
- 冷蔵保存(2〜8℃)、凍結不可。使用前に30分以上かけて室温に戻す
- 投与スケジュール管理 → 2週〜4週に1回(モノクローナル抗体)、6ヶ月に1回(インクリシラン)
- スタチン等との併用が基本 → PCSK9阻害薬単独ではないことを患者に説明
- 妊婦・授乳婦禁忌(動物実験で胎盤通過あり)
- 高額な薬剤 → 医療費助成制度(FHの場合は指定難病の医療費助成)の情報提供