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線維筋痛症

線維筋痛症

概要

明確な炎症や器質的異常が乏しいにもかかわらず、全身の慢性疼痛(広範囲疼痛)と疲労、睡眠障害、抑うつ・不安、認知機能低下(いわゆる"fibro fog")などを伴う症候群。痛みの背景として 中枢性感作(痛みの増幅) が重要とされる。

症状(よくみられる)

  • 広範囲の筋骨格痛(移動する、増悪寛解することも)
  • 圧痛、こわばり
  • 強い疲労感
  • 睡眠障害(熟眠感なし、中途覚醒)
  • 頭痛、過敏性腸症候群様症状、しびれ感
  • 抑うつ・不安、集中力低下

病態(要点)

💡
  • 中枢性感作:痛み刺激に対する神経系の反応が過敏になり、痛みが増幅されやすい
  • ストレス、睡眠障害、活動量低下(廃用)などが相互に悪循環を形成しやすい

診断(要点)

  • 症状経過(慢性)、疼痛の分布、日常生活への影響を総合的に評価
  • 鑑別:関節リウマチなど炎症性疾患、甲状腺機能異常、神経疾患、薬剤性、うつ病など
  • 検査(血液など)は、他疾患除外・併存評価の目的で行われることが多い(線維筋痛症そのものを確定する特異的検査は乏しい)

治療(全体像)

🩺
  • 非薬物療法が治療の土台(運動療法+睡眠・ストレス介入)
  • 症状(痛み/睡眠/気分)に合わせて 薬物療法を補助的に併用
  • 目標:痛みをゼロにするより、生活機能(活動性)を改善して悪循環を断つ

非薬物療法(重要)

1) 運動療法

  • 有酸素運動(ウォーキング等)+筋力トレーニングを 低負荷から漸増
  • 痛みで動けない→さらに悪化、を避けるため「できる範囲で継続」

2) 教育・心理的介入

  • 病態(中枢性感作)と悪循環の説明、セルフマネジメント
  • 認知行動療法(CBT)などが有用なことがある

3) 睡眠・生活調整

  • 睡眠衛生(就寝起床の規則化、カフェイン・飲酒の調整)
  • 生活リズム、活動と休息のバランス(pacing)

薬物療法(代表的な考え方)

⚠️
  • 効果は個人差が大きい。少量開始・ゆっくり調整が基本。
  • 鎮痛薬(NSAIDs等)が効きにくい場合も多く、神経障害性疼痛/中枢性疼痛のアプローチを取ることがある。

1) 抗うつ薬(痛み・睡眠・気分に)

  • SNRI(例:デュロキセチン等):疼痛と抑うつ/不安を併存する場合に選択されることがある
  • 三環系抗うつ薬(少量):睡眠と痛みに用いられることがある(抗コリン作用に注意)

2) α2δリガンド

  • プレガバリンなど:疼痛・睡眠の改善を狙うことがある

3) その他

  • 症状に応じて睡眠薬等を短期的に検討する場合がある(依存・転倒に注意)
🚫
  • オピオイドは原則として慎重(長期有効性が限定的で、有害事象・依存リスクが問題になり得る)。

フォローアップ(チェック項目)

  • 痛みの強さだけでなく 生活機能(活動量、仕事/家事、外出)
  • 睡眠の質、疲労
  • 抑うつ・不安、ストレス
  • 運動の継続状況(やりすぎ/やらなさすぎの調整:pacing)
  • 薬物療法の副作用(眠気、ふらつき、体重増加、消化器症状など)