アトピー
① 概要(どんな病気?)
- かゆみを伴う湿疹が慢性的に反復する皮膚疾患。
- 背景に 皮膚バリア機能低下 と アレルギー/炎症(免疫反応) が関与。
- 乾燥、汗、摩擦、感染(とびひ等)、ストレス、季節変動などで悪化しやすい。
② 治療の考え方(大枠)
- 目標:
- かゆみ・湿疹をコントロールし、睡眠や生活の質を保つ
- 増悪・再燃を減らし、寛解を維持
- 基本の三本柱:
1) スキンケア(保湿)
2) 炎症の治療(外用抗炎症薬中心)
3) 悪化因子の対策(掻破、感染、刺激、汗など)
③ 薬物治療の全体像
A. 外用治療(基本)
- 保湿薬:毎日継続(症状が軽い時も)
- 外用ステロイド:炎症コントロールの主力(部位・重症度で強さを使い分け)
- 外用カルシニューリン阻害薬:タクロリムス(顔・頸部などで使われることが多い)
- 外用JAK阻害薬/ PDE4阻害薬:新規外用(適応・年齢制限などは製剤で確認)
B. かゆみ対策(補助)
- 抗ヒスタミン薬(内服):かゆみや睡眠障害の補助として使われることがある(皮膚炎そのものの炎症を抑える主薬ではない)
C. 中等症〜重症での全身治療
- 生物学的製剤:
- 例:デュピルマブ(抗IL-4/13)など
- JAK阻害薬(内服):
- 例:バリシチニブ、ウパダシチニブ等(適応・リスク評価が必要)
- 免疫抑制薬:
- 例:シクロスポリン(短期で使われることがある)
| カテゴリ | 代表薬(例) | 主な用途(例) | ポイント(例) |
|---|---|---|---|
| 保湿薬 | ヘパリン類似物質 尿素製剤 ワセリン など | スキンケア(全例) | 毎日継続が基本。入浴後すぐの塗布が重要。 |
| 外用ステロイド | (強さは複数) | 炎症抑制 | 部位(顔/体幹/手足)・年齢で強さと使用期間を調整。正しい塗布量(FTU)を指導。 |
| 外用カルシニューリン阻害薬 | タクロリムス軟膏 | 顔・頸部など | 刺激感/灼熱感が出ることがある(多くは初期)。 |
| 外用(新規) | 外用JAK阻害薬 PDE4阻害薬 | 炎症抑制 | 年齢・部位・重症度で適応が異なる。 |
| 生物学的製剤 | デュピルマブ など | 中等症〜重症 | 注射部位反応、結膜炎など薬剤特有の副作用に注意。 |
| JAK阻害薬(内服) | バリシチニブ等 | 中等症〜重症 | 感染(帯状疱疹等)、血栓、血算/肝機能/脂質などモニタリング。 |
| 免疫抑制薬 | シクロスポリン など | 重症例の短期 | 腎機能、血圧、相互作用(CYP3A4)に注意。 |
⑤ 服薬指導・フォローの要点
- 塗り方(継続が最重要):
- 症状があるところは抗炎症薬(外用ステロイド等)でしっかり治す
- 改善後は保湿を継続し、必要に応じて“再燃予防の塗り方”(間欠外用など)を行う
- 保湿のタイミング:入浴後は皮膚が乾燥しやすいので、早めに保湿
- 掻破対策:爪を短く、寝具/衣類の刺激を減らす
- 感染のサイン:じゅくじゅく、膿、悪臭、発熱(とびひ等)→ 早めに受診
- 全身治療:
- 生物学的製剤/JAK阻害薬は感染兆候の早期対応と定期検査が重要
ポイント: アトピーは「保湿+外用抗炎症薬」が基本。塗り方・塗る量・続け方で成績が大きく変わる。感染や強い悪化は早めに受診し、重症例では生物学的製剤/JAK阻害薬などを追加する。