抗結核薬

抗結核薬

① 薬効群の概要

  • 抗結核薬は 結核菌(Mycobacterium tuberculosis) に対する治療薬の総称
  • 結核は単剤治療で耐性化しやすいため、原則として 多剤併用(標準治療)で治療する
  • 代表的な一次薬(いわゆる“第一選択”として用いられることが多い)
    • イソニアジド(INH)
    • リファンピシン(RFP)
    • ピラジナミド(PZA)
    • エタンブトール(EB)
  • 治療期間は長く、服薬アドヒアランス副作用モニタリングが治療成否に直結する
  • 耐性結核(MDR/RR-TBなど)では、別系統薬を組み合わせた専門的治療が必要

② 作用機序(要点)

  • 抗結核薬は薬剤ごとに標的が異なり、結核菌の
    • 細胞壁(ミコール酸など)
    • RNA合成
    • エネルギー代謝
    • 蛋白合成
    • などを阻害する
代表的な機序(理解の骨格)
  • INH:ミコール酸合成阻害(細胞壁)
  • RFP:RNAポリメラーゼ阻害(RNA合成)
  • PZA:酸性環境で作用し、菌の代謝・膜機能に影響(機序は複合的)
  • EB:アラビノガラクタン合成阻害(細胞壁)
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治療の考え方:活動性の異なる菌(増殖菌・休眠菌など)に“層”で効かせるために多剤併用を行う。

③ 代表薬(分類と例)

※採用薬・適応は施設/国で異なるため代表例として整理。

一次薬(標準治療で中心になりやすい)

薬剤(一般名)主な役割(要点)注意すべき副作用(要点)
イソニアジド(INH)細胞壁合成阻害。標準治療の中心薬の一つ肝障害、末梢神経障害(Vit B6で予防を検討)
リファンピシン(RFP)RNA合成阻害。殺菌力が強く、治療期間短縮に重要肝障害、体液の橙色化、強い薬物相互作用(酵素誘導)
ピラジナミド(PZA)初期強化期に用いられることが多い肝障害、高尿酸血症(痛風発作など)
エタンブトール(EB)耐性化抑制のために併用されることが多い視神経炎(視力低下、色覚異常)

耐性結核などで用いられることがある薬(例)

  • レボフロキサシン/モキシフロキサシン(キノロン系)
  • アミカシン等(アミノグリコシド系:注射)
  • リネゾリド 等
※治療レジメンは専門的(薬剤感受性・副作用・相互作用の評価が必須)。

④ 看護のポイント(観察事項)

  • 服薬アドヒアランス:長期治療のため、中断・飲み忘れの把握(DOTS等の枠組みを含む)
  • 肝障害:AST/ALT、倦怠感、食欲不振、悪心、黄疸(INH/RFP/PZAで特に)
  • 視機能:視力低下、かすみ、色覚異常(EB)
  • 末梢神経障害:しびれ、灼熱感(INH)
  • 高尿酸血症:関節痛、痛風発作(PZA)
  • 薬物相互作用
    • RFPは相互作用が非常に多い(抗凝固薬、経口避妊薬、免疫抑制薬、抗てんかん薬など)
    • 併用薬・OTC・サプリの確認が重要
  • 感染対策:排菌状況(喀痰検査など)と隔離の運用、咳嗽指導(医療者自身の曝露も含む)
⚠️
結核治療は「副作用が出やすい+中断すると耐性化リスク」:症状が出たら自己中断せず、早期に医療者へ相談しながら調整する。

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