抗結核薬
- 抗結核薬は 結核菌(Mycobacterium tuberculosis) に対する治療薬の総称
- 結核は単剤治療で耐性化しやすいため、原則として 多剤併用(標準治療)で治療する
- 代表的な一次薬(いわゆる“第一選択”として用いられることが多い)
- イソニアジド(INH)
- リファンピシン(RFP)
- ピラジナミド(PZA)
- エタンブトール(EB)
- 治療期間は長く、服薬アドヒアランスと副作用モニタリングが治療成否に直結する
- 耐性結核(MDR/RR-TBなど)では、別系統薬を組み合わせた専門的治療が必要
- 抗結核薬は薬剤ごとに標的が異なり、結核菌の
- 細胞壁(ミコール酸など)
- RNA合成
- エネルギー代謝
- 蛋白合成
などを阻害する
代表的な機序(理解の骨格)
- INH:ミコール酸合成阻害(細胞壁)
- RFP:RNAポリメラーゼ阻害(RNA合成)
- PZA:酸性環境で作用し、菌の代謝・膜機能に影響(機序は複合的)
- EB:アラビノガラクタン合成阻害(細胞壁)
治療の考え方:活動性の異なる菌(増殖菌・休眠菌など)に“層”で効かせるために多剤併用を行う。
※採用薬・適応は施設/国で異なるため代表例として整理。
一次薬(標準治療で中心になりやすい)
| 薬剤(一般名) | 主な役割(要点) | 注意すべき副作用(要点) |
|---|---|---|
| イソニアジド(INH) | 細胞壁合成阻害。標準治療の中心薬の一つ | 肝障害、末梢神経障害(Vit B6で予防を検討) |
| リファンピシン(RFP) | RNA合成阻害。殺菌力が強く、治療期間短縮に重要 | 肝障害、体液の橙色化、強い薬物相互作用(酵素誘導) |
| ピラジナミド(PZA) | 初期強化期に用いられることが多い | 肝障害、高尿酸血症(痛風発作など) |
| エタンブトール(EB) | 耐性化抑制のために併用されることが多い | 視神経炎(視力低下、色覚異常) |
耐性結核などで用いられることがある薬(例)
- レボフロキサシン/モキシフロキサシン(キノロン系)
- アミカシン等(アミノグリコシド系:注射)
- リネゾリド 等
※治療レジメンは専門的(薬剤感受性・副作用・相互作用の評価が必須)。
- 服薬アドヒアランス:長期治療のため、中断・飲み忘れの把握(DOTS等の枠組みを含む)
- 肝障害:AST/ALT、倦怠感、食欲不振、悪心、黄疸(INH/RFP/PZAで特に)
- 視機能:視力低下、かすみ、色覚異常(EB)
- 末梢神経障害:しびれ、灼熱感(INH)
- 高尿酸血症:関節痛、痛風発作(PZA)
- 薬物相互作用:
- RFPは相互作用が非常に多い(抗凝固薬、経口避妊薬、免疫抑制薬、抗てんかん薬など)
- 併用薬・OTC・サプリの確認が重要
- 感染対策:排菌状況(喀痰検査など)と隔離の運用、咳嗽指導(医療者自身の曝露も含む)
結核治療は「副作用が出やすい+中断すると耐性化リスク」:症状が出たら自己中断せず、早期に医療者へ相談しながら調整する。
- 抗微生物薬への耐性(AMR)
- 日和見感染
- キノロン系抗菌薬/アミノグリコシド系抗菌薬