抗微生物薬への耐性

抗微生物薬への耐性のメカニズム(AMR)

概要

抗微生物薬への耐性(Antimicrobial Resistance:AMR)とは、微生物が薬剤の存在下でも生存・増殖できる性質を獲得すること。臨床的には「通常量・通常投与で効かない」状態として問題になる。

耐性が生まれる仕組み(大枠)

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  • 自然耐性(intrinsic resistance):もともと構造・代謝の違いで効きにくい(例:外膜、標的欠如)
  • 獲得耐性(acquired resistance):遺伝子変化で新たに耐性化
    • 突然変異(染色体変異)
    • 水平伝播(プラスミド・トランスポゾン・インテグロンなど)

主要メカニズム(臨床で押さえる5分類)

1) 薬剤の分解・失活(酵素)

  • βラクタマーゼ(ESBL、AmpC、カルバペネマーゼ等)
  • アミノグリコシド修飾酵素 など

2) 標的部位の変化(ターゲット改変)

  • PBPの変化(例:MRSAのPBP2a)
  • リボソームの変化(マクロライド耐性など)
  • DNAジャイレース/トポイソメラーゼ変異(キノロン耐性)

3) 薬剤の取り込み低下(透過性低下)

  • 外膜ポーリン変化(グラム陰性菌)
  • バイオフィルム形成により薬剤到達が悪化 など

4) 排出(エフラックスポンプ)

  • 多剤耐性に関与しやすい(テトラサイクリン、キノロン等で問題になり得る)

5) 代謝経路の迂回・標的の過剰産生

  • 葉酸代謝系の迂回(スルホンアミド/トリメトプリム耐性など)
  • 標的酵素の過剰産生 など

交差耐性・多剤耐性が起きる理由

  • 同系統薬:標的が同じ → 標的変化で一括して効きにくくなる(交差耐性)
  • プラスミド:複数の耐性遺伝子を同時に持つ → 多剤耐性
  • エフラックス:複数薬剤をまとめて排出 → 多剤耐性

臨床での重要ポイント(薬剤選択・適正使用)

🩺
  • 耐性機序は「菌種×薬剤クラス」で傾向がある(例:ESBL産生菌、MRSA)
  • 重要なのは 培養・感受性結果(MIC/カテゴリー) と、感染巣・PK/PD・投与量で最適化すること
  • 不適切な広域薬の使用は、耐性菌選択圧を高める

まとめ(覚え方)

  • 壊す(分解)
  • 変える(標的変化)
  • 入れない(透過性低下)
  • 出す(排出)
  • 迂回する(代謝回避)