内分泌療法
- 「細胞障害性抗がん薬」と比べると、一般に長期で継続しやすい一方、骨・代謝・血栓・更年期様症状などの有害事象が問題になりやすい
- 単独療法に加え、分子標的薬(CDK4/6阻害薬、mTOR阻害薬、PI3K阻害薬、AR阻害薬など)との併用が標準となる場面が増えている
- ホルモンを減らす(産生抑制):
- 例:閉経前乳がんでの卵巣機能抑制、前立腺がんでの去勢療法(ADT)
- 受容体の作用を止める(受容体拮抗/シグナル遮断):
- 例:エストロゲン受容体(ER)やアンドロゲン受容体(AR)を阻害
- ホルモンの変換を止める(合成経路阻害):
- 例:アロマターゼ阻害、CYP17阻害 など
| 領域 | 薬効群(例) | 代表薬(例) | ポイント(例) |
|---|---|---|---|
| 乳がん(ER陽性) | SERM(ER調節薬) | タモキシフェン | 閉経前で重要。血栓/子宮内膜、CYP相互作用など。 |
| 乳がん(ER陽性) | アロマターゼ阻害薬(AI) | レトロゾール アナストロゾール エキセメスタン | 閉経後で中心。骨量低下、関節痛。 |
| 乳がん(ER陽性) | SERD(ER分解薬) | フルベストラント(注) | 進行再発で使用。注射製剤。 |
| 乳がん(閉経前) | 卵巣機能抑制(LHRH/GnRH作動薬) | ゴセレリン など | 更年期様症状、骨量低下に注意。 |
| 前立腺がん | ADT:LHRH/GnRH作動薬/拮抗薬 | リュープロレリン(作動) デガレリクス(拮抗)など | テストステロン低下。骨・代謝・心血管リスク。 |
| 前立腺がん | AR阻害薬(抗アンドロゲン) | エンザルタミド、アパルタミド等 | 倦怠感、転倒/骨折、薬剤ごとの注意点。 |
| 前立腺がん | アンドロゲン合成阻害 | アビラテロン(+ステロイド) | ミネラルコルチコイド過剰(高血圧/低K)など。 |
- 更年期様症状:ほてり、発汗、気分変動、性機能関連
- 骨の健康:骨量低下/骨粗鬆症(AI、ADT、卵巣機能抑制で特に)
- 体重負荷運動、Ca/VitD、骨保護薬の適応など(治療方針に従う)
- 代謝・心血管:体重増加、脂質異常、耐糖能、血圧(ADTで注意)
- 血栓:下肢痛・腫脹、息切れ/胸痛(タモキシフェン等で注意)
- 肝機能/電解質:内服薬・併用薬に応じて(例:アビラテロンでK低下など)
- アドヒアランス:長期治療になりやすいので、服薬継続の支援が重要
内分泌療法は「長く続ける治療」。強い吐き気や脱毛よりも、骨・代謝・血栓・心血管などの“生活の質に影響する副作用”がポイント。ほてり・関節痛・体重変化なども含め、我慢せず早めに相談して調整する。