低Ca血症
低Ca血症は、神経・筋の興奮性が亢進し、テタニーやけいれん、不整脈(QT延長)を起こし得る。原因として低Alb(見かけの低Ca)や低Mg、ビタミンD不足/腎機能低下などの背景評価が重要。
- 典型症状:口周囲のしびれ、手足のしびれ、筋けいれん、テタニー、けいれん
- まず確認:バイタル、呼吸、意識、痙攣の有無、心電図
- まず検査:
- 補正Ca(Albで補正)またはイオン化Ca(iCa)(可能なら)
- Mg、P、Alb、腎機能(BUN/Cr)、PTH、25(OH)D(必要時)
- 酸塩基(pH上昇=アルカローシスでiCa低下)
- 見かけの低Ca:低アルブミン血症(iCaは保たれることがある)
- 真の低Ca:
- 低PTH:術後(甲状腺/副甲状腺)、自己免疫など
- PTH抵抗性:偽性副甲状腺機能低下症など
- ビタミンD不足/活性化低下:日光不足、吸収不良、CKD など
- 低Mg:PTH分泌/作用低下 → Caが上がりにくい
- 高P:CKD、腫瘍崩壊などでCaが下がり得る
- 急性膵炎、大量輸血(クエン酸)など
- QT延長(TdPリスク)
- 徐脈、心室性不整脈(状況により)
方針は「症状/重症度で静注の要否を決める」+「原因(VitD、Mg、PTH、P)を是正する」。
A. 症状あり/重症(テタニー、けいれん、重度QT延長など)
- カルシウム製剤(静注:グルコン酸Ca など)
- 作用機序:血中Ca(特にイオン化Ca)を上げ、神経・筋の興奮性亢進と心筋電気生理学的異常を改善
- 注意:投与速度・濃度・ルートは院内規定に従う(血管外漏出、徐脈/不整脈、ジギタリス併用などに注意)
B. 軽症〜中等症/維持
- 経口Ca製剤(例:炭酸Ca、乳酸Caなど:採用品目による)
- 作用機序:腸管からCaを補充し、慢性的な不足を補う
- 注意:便秘、腎機能、尿路結石リスク(背景により)
- ビタミンD製剤(原因がVitD不足/活性化低下のとき)
- 作用機序:腸管でのCa吸収を増やし、PTH過剰を抑えつつCaを維持しやすくする(製剤により活性化段階が異なる)
- CKDでは活性型が選ばれることがある(適応・用量は病態で調整)
C. 低Mgがある場合(最重要)
- 硫酸Mg(経口/静注)
- 作用機序(概念):低Mgにより低下しているPTH分泌/作用が回復し、Caが上がりやすくなる(Ca補正の反応性が改善)
D. 高リン血症が背景の場合
- CKD等ではリン吸着薬や食事管理を検討(病態により)
- 作用機序:腸管でリンを結合し、Pを下げてCa低下の背景を改善し得る