低K血症

低K血症(低カリウム血症)

① 概要(なぜ重要?)

低K血症は、心筋・骨格筋・平滑筋の興奮性に影響し、不整脈筋力低下を起こし得る。特に「重症」「心疾患あり」「ジギタリス使用」「低Mg併存」は危険。
  • よくある症状:倦怠感、筋力低下、こむら返り、便秘/腸管運動低下、動悸
  • まず確認:バイタル、心電図、尿量、腎機能、酸塩基、併存電解質(Mg、Ca、P)
  • まず原因を分類:
    • 体内K欠乏(喪失):消化管ロス(下痢・嘔吐・胃管)、腎性喪失(利尿薬、ミネラルコルチコイド過剰、尿細管障害など)
    • 細胞内移動:インスリン投与、β刺激薬、アルカローシス、再栄養 など
    • 摂取不足:低栄養、食事摂取不良

② 心電図所見(典型)

  • T波平低化、ST低下
  • U波出現(目立つことがある)
  • QT(正確にはQU)延長 → 心室性不整脈のリスク

③ 薬物治療(作用機序つき)

治療は「原因是正+K補充」。重症度と投与経路(経口/静注)を決め、Mg補正の要否を必ず考える。

A. K補充(基本)

  • 塩化カリウム(KCl)(内服/静注、製剤は施設で異なる)
    • 作用機序:不足しているKを補い、細胞内外のKバランスを回復させる
    • 使い分け(目安):
      • 軽症〜中等症、内服可能:経口補充が基本(安全で確実)
      • 症状あり・重症・不整脈リスク高い・内服不可:静注補充を選ぶことがある
    • 注意:静注は投与速度・濃度・ルート(末梢/中心)を院内規定に従う(血管痛、静脈炎、過補正)

B. 原因に応じた薬物調整

  • 利尿薬(ループ/サイアザイド)が原因:
    • 用量調整、必要ならK補充+(状況により)K保持性利尿薬の併用を検討
    • ただし腎機能/高Kリスクを見て慎重に
  • ミネラルコルチコイド過剰(例:原発性アルドステロン症など)が疑われる:
    • MRA(スピロノラクトン、エプレレノン)等で腎からのK喪失を抑える(状況により)
    • 作用機序:アルドステロン作用を抑え、集合管でのNa再吸収・K排泄を低下させる
  • 細胞内移動(インスリン、β刺激薬、アルカローシスなど):
    • 原因薬剤/病態の調整(過量インスリンの見直し、呼吸性/代謝性アルカローシスの原因対応)
    • 体内K欠乏がない場合もあり、補正は「過補正」に注意

C. Mg補正(Kが上がりにくい時の鍵)

  • 硫酸Mg(経口/静注、製剤は施設で異なる)
    • 位置づけ:低Mgがあると腎からのK喪失が増え、K補充しても上がりにくい
    • 作用機序(概念):低MgによりROMK等を介したK排泄が増えやすくなるため、Mg補正でKが保持されやすくなる

注意(実務)

  • 低Kは「入れる」だけでなく、失っている原因(下痢・胃管・利尿など)を止める/減らすのが再発予防。
  • 心疾患、ジギタリス使用、QT延長、低Mg併存では不整脈リスクが上がるため、心電図モニタと補正目標を意識する。
  • 腎機能が悪い場合は、補正後に反転して高Kになり得るため、再検・投与量に注意。