電解質異常
電解質異常は「原因」「重症度(症状・心電図)」「合併する酸塩基異常」「腎機能」をセットで評価する。
- まず確認:意識障害、けいれん、筋力低下、呼吸状態、不整脈/心電図変化
- まず採血:Na / K / Cl / Ca / Mg / P、血糖、BUN/Cr、浸透圧、血ガス(必要時)
- まず原因:
- 入出:嘔吐/下痢、胃管、利尿、発汗、輸液
- 腎:AKI/CKD、利尿薬、RAA系薬
- 内分泌:SIADH、副腎不全、甲状腺、糖尿病(DKA/HHS)
- 薬剤:利尿薬、インスリン、β刺激薬、PPI、下剤、抗がん薬 など
- 緊急性が高いのは「症状あり」または「心電図異常」
- 補正は「不足量を入れる」だけでなく、喪失が続いていないか(下痢・胃管・利尿等)を同時に止める/減らす
- Mg不足はKが上がりにくい原因になりやすい → 低K治療ではMgも確認
- 急速補正に注意:
- 低Naの急速補正 → 浸透圧性脱髄症候群
- 高Naの急速補正 → 脳浮腫
- 低Pの急速補正/リフィーディング → 再低下や合併症
Na(ナトリウム)
- 低Na血症
- まず「急性/慢性」「症状(けいれん・意識障害)」を確認
- 薬物治療の考え方:
- 症状強い/重症:高張食塩水(3% NaCl)を用いることがある(施設プロトコルに沿う)
- 体液量低下:等張食塩水で補正
- SIADHなど:原因対応+水制限、必要により薬剤(状況により)
- 注意:補正速度(急速補正の回避)
- 高Na血症
- 原因:水欠乏(摂取不足、発熱、浸透圧利尿等)
- 薬物治療:基本は自由水(経口/経管)またはブドウ糖液等で段階的に補正
- 注意:急速補正を避ける
K(カリウム)
- 低K血症
- 薬物治療:K補充(経口/静注)
- 併せて確認:利尿薬、下痢/嘔吐、アルカローシス、インスリン・β刺激薬、低Mg
- 重要:心電図変化や重症例では静注を選ぶことがある(投与速度・希釈・ルートは院内規定)
- 高K血症(緊急度が高いことが多い)
- 目的は3段階:
- 原因:腎不全、RAA系薬、K製剤、溶血、アシドーシス など
1) 心筋保護:カルシウム製剤(グルコン酸Ca等)
2) 細胞内移動:インスリン+ブドウ糖、β2刺激薬(吸入)等
3) 体外排泄:利尿(腎機能があれば)、K吸着薬(状況により)、透析
Ca(カルシウム)
- 低Ca血症
- 症状:テタニー、けいれん、QT延長など
- 薬物治療:症状/重症ならカルシウム製剤(静注)、軽症なら経口Ca+ビタミンD(背景により)
- 併せて確認:低Mg、低Alb(補正Ca)、腎機能、甲状腺/副甲状腺、VitD不足
- 高Ca血症
- 原因:悪性腫瘍、原発性副甲状腺機能亢進、VitD過剰など
- 薬物治療(代表):補液(生食)+必要時利尿、ビスホスホネート、カルシトニン(状況により)
Mg(マグネシウム)
- 低Mg血症
- 症状:不整脈、けいれん、低K/低Caが治りにくい
- 薬物治療:硫酸Mg(経口/静注、重症度で選択)
- 原因:下痢、利尿薬、PPI、アルコール多飲など
- 高Mg血症
- 原因:腎機能低下+Mg含有下剤/制酸薬など
- 薬物治療:原因中止、必要時カルシウム製剤で拮抗、透析(重症/腎不全)
P(リン)
- 低P血症
- 影響:筋力低下、呼吸筋低下、溶血、横紋筋融解など
- 薬物治療:リン補充(経口/静注)(重症度で選択)
- 重要:再栄養(リフィーディング)、インスリン投与、呼吸性アルカローシスなど背景を確認
- 高P血症
- 原因:腎不全、腫瘍崩壊、横紋筋融解など
- 薬物治療:食事制限、リン吸着薬(CKD等)、透析(重症/腎不全)