💊
ニトログリセリン舌下錠と狭心症発作時の対応
症例
65歳男性。
労作性狭心症の既往があり、
ニトログリセリン舌下錠を発作時用として携帯している。
散歩中に突然胸骨後部の締め付けるような痛みが出現した。
直ちにニトログリセリン舌下錠を1錠舌下投与したが、
5分経っても症状が改善しない。
この患者への対応として最も適切なものはどれか。
もう1錠追加で舌下投与し、3回使用しても改善しなければ心筋梗塞を疑い救急要請する
ニトログリセリンは血管平滑筋のグアニル酸シクラーゼを活性化し、
cGMPを増加させて血管を拡張する。
ニトログリセリン舌下投与
↓
舌下粘膜から速やかに吸収(1〜2分で効果発現)
↓
静脈系を拡張 → 前負荷(心臓への還流血液量)を軽減
↓
冠動脈も拡張 → 心筋への血流を改善
↓
心筋の酸素需要↓+酸素供給↑
↓
狭心症の胸痛が改善
【発作時の使用手順】
- 座った状態で舌下に1錠投与(立位だと血圧低下で転倒のリスク)
- 5分経っても効果がなければもう1錠追加
- 計3回(5分間隔)使用しても改善しなければ→ 急性心筋梗塞を疑い直ちに救急車を呼ぶ
※ 舌下投与は初回通過効果を回避するため(経口では肝臓で大部分が分解される)。
※ 主な副作用は頭痛・血圧低下・顔面紅潮。
効かないので飲み込んで経口投与する
ニトログリセリンは経口投与すると肝臓での初回通過効果で大部分が分解され、ほとんど効果がない。必ず舌下投与で使用する。
効果がないので安静にして様子を見る
安静は大切だが、ニトログリセリンが無効であることは急性心筋梗塞の可能性を示唆する。3回使用しても改善しなければ直ちに救急要請が必要である。
立ったまま深呼吸をしながら追加投与する
ニトログリセリンは血圧低下を引き起こすため、立位での使用は転倒の危険がある。必ず座った状態で使用するよう指導する。
ニトログリセリンの保管と患者指導のポイントは?
【保管方法】
- 遮光・密栓して保管(光・空気で分解される)
- ガラス瓶のまま保管(プラスチックに吸着する)
- 開封後は有効期限に注意(一般的に約3か月で交換)
- 綿栓は開封後に捨てる(薬剤を吸着するため)
【患者指導ポイント】
- 常に携帯する(外出時・就寝時も手の届く場所に)
- 舌下に入れたとき舌がピリピリしなければ薬効が低下している可能性
- 座位で使用する(血圧低下・めまいに注意)
- PDE5阻害薬(シルデナフィル等)との併用は禁忌→ 重篤な低血圧
- 頭痛が出ることがあるが、血管拡張による正常な反応と説明
- 硝酸薬の耐性:貼付剤は休薬時間を設ける(間欠投与)