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ニトログリセリン持続静注と血圧管理
症例
70歳男性。
急性心不全で緊急入院となった。
起座呼吸・両側肺うっ血を認め、
ニトログリセリン持続静注が開始された。
投与開始30分後、看護師が確認すると
血圧 78/50 mmHg(投与前 150/90)まで低下し、
めまい・冷汗・頻脈を認めた。
この患者への対応として最も適切なものはどれか。
ニトログリセリンの投与速度を減量または一時中止し、下肢挙上と輸液を検討する
ニトログリセリンの持続静注は用量依存的に血管を拡張する。
過度の血管拡張により前負荷が過剰に低下すると、
心拍出量が減少し低血圧となる。
ニトログリセリン持続静注
↓
静脈系の拡張(前負荷↓↓)
↓
心臓への還流血液量が過度に減少
↓
心拍出量が低下
↓
血圧低下・頻脈(反射性頻脈)
↓
めまい・冷汗・ショック症状
【対応】
- 投与速度を減量または一時中止
- 下肢挙上(静脈還流を増やす)
- 必要に応じて生理食塩水の輸液
- 血圧回復後、低用量から再開を検討
※ 持続静注では頻回の血圧モニタリングが必須。
※ 目標は収縮期血圧 90 mmHg以上を維持しながらうっ血を改善すること。
効果が出ているので投与速度を維持する
収縮期血圧78 mmHgは過度の低血圧であり、ショックに移行する危険がある。効果の確認は重要だが、低血圧への対応が最優先である。
昇圧薬(ノルアドレナリン)を直ちに開始する
まず原因(ニトログリセリンの過量投与)を除去するのが優先。薬を減量・中止するだけで改善することが多く、直ちに昇圧薬が必要になるとは限らない。
頭痛があるか確認し、頭痛がなければ問題ないと判断する
頭痛は硝酸薬の副作用だが、血圧78/50 mmHgは明らかな低血圧であり、頭痛の有無にかかわらず直ちに対応が必要である。
ニトログリセリン持続静注中の看護師の観察ポイントは?
【投与中のモニタリング】
- 血圧:投与開始後は5〜15分ごとに測定。安定後も1時間ごと
- 心拍数:反射性頻脈の出現に注意
- SpO₂・呼吸状態:うっ血の改善を評価
- 尿量:腎灌流の指標
- 自覚症状:頭痛・めまい・嘔気
【投与時の注意点】
- ニトログリセリンはポリ塩化ビニル(PVC)製の輸液セットに吸着する
→ ポリエチレン製またはガラス製の輸液セットを使用する
- 遮光が必要(光で分解される)
- 輸液ポンプで正確な速度管理を行う
- 急な中止はリバウンド現象(冠攣縮の誘発)があるため漸減する
【低血圧時の基準】
- 一般的に収縮期血圧 90 mmHg未満で減量・中止を検討
- 医師の指示による目標血圧を確認しておく