血液脳関門 (BBB)

血液脳関門 (BBB)

概要

血液脳関門(BBB: Blood–Brain Barrier)は、血液と脳(中枢神経)の間で物質の移動を厳密に制御するバリア機構。主に脳毛細血管の内皮細胞が作る構造で、脳内環境(イオン・神経伝達物質など)を一定に保ち、毒性物質や病原体から脳を守る。

どこにある?(構造)

  • 脳毛細血管内皮細胞:細胞同士がタイトジャンクションで強固に結合し、すき間からの漏れ(傍細胞輸送)を抑える
  • 基底膜
  • 周皮細胞(ペリサイト)
  • アストロサイト終足(周囲から内皮機能を調節)
※これらをまとめて「神経血管ユニット」として理解することが多い。

何をしている?(役割)

  • 恒常性の維持:脳内のイオン・水分・pHなどを一定に保つ
  • 防御:毒性物質、炎症性物質、病原体などの侵入を制限
  • 栄養供給の選別:必要な物質だけを輸送体で取り込む

物質はどうやって通る?(通過の仕組み)

BBBを越える主なルートは以下。
  • 受動拡散:脂溶性が高く分子量が小さい物質は通りやすい(例:一部の麻酔薬など)
  • 輸送体(キャリア)
    • 例:GLUT1(ブドウ糖)、アミノ酸輸送体 など
  • 受容体介在性トランスサイトーシス
    • 例:インスリン、トランスフェリン など
  • 排出ポンプ(エフラックス)
    • P-gp(P-glycoprotein)などが薬物を血管側へ汲み出し、脳内移行を抑える

薬理学的に重要なポイント

  • BBBのために、多くの薬は脳へ移行しにくい(中枢作用が必要な薬の設計・選択に影響)
  • 脂溶性・非解離型・低分子ほど通過しやすい傾向
  • P-gpなど排出輸送体の影響で、理論上通れそうでも実際は移行が制限されることがある

BBBが破綻/変化する例(臨床イメージ)

  • 髄膜炎・脳炎など炎症:透過性が上がり、薬が届きやすくなる一方、脳浮腫リスクも増える
  • 脳腫瘍:部位によってBBBが不均一(造影MRIで「造影される=漏れやすい」部位がある)
  • 脳梗塞・外傷:バリア機能が低下することがある

ひとことまとめ

BBBは「脳を守り、脳内環境を一定に保つための選別ゲート」。薬が中枢に効く/効かない理由や、感染・炎症時の薬の届き方を理解する土台になる。