【第2回】薬理学【振り返り】

問1(投与経路)

ニトログリセリンを狭心症発作時に舌下投与する主な理由として最も適切なのはどれか。
 初回通過効果を受けるため
 初回通過効果を回避し、速やかに作用するため
 胃酸で分解されるため
 腸肝循環を利用するため
正答
正答:② 初回通過効果を回避し、速やかに作用するため
解説:
ニトログリセリンは肝臓で代謝されやすく、飲み薬としてそのまま飲むと初回通過効果で有効成分が減って効きにくくなります。舌下は口の粘膜から吸収され、肝臓を最初に通らずに全身循環へ入るため、発作時に速く効かせられるのが最大の利点です。
※「胃酸で分解」は主理由ではありません。
 

問2(経口製剤)

徐放製剤を粉砕して服用してはいけない理由として最も適切なのはどれか。
 苦味が強くなるため
 吸収されなくなるため
 一度に薬が放出され、血中濃度が急上昇するため
 腸でしか吸収されなくなるため
正答
正答:③ 一度に薬が放出され、血中濃度が急上昇するため
解説:
徐放製剤(徐放錠、CR、SR など)は、薬がゆっくり放出されるように加工されています。粉砕すると構造が壊れ、短時間に薬が一気に放出される(dose dumping)ため、
副作用が強く出る
血中濃度の急上昇→その後の急低下で効果が持続しない
など安全性・有効性の両面で問題になります。
①「苦味が強くなる」は起こり得ますが“最も適切”な理由ではありません。
 

問3(吸入薬)

吸入ステロイド使用後に、うがいを勧める主な目的はどれか。
 吸収を促進するため
 気管支拡張作用を強めるため
 口腔カンジダや嗄声を予防するため
 初回通過効果を防ぐため
正答
正答:③ 口腔カンジダや嗄声を予防するため
解説:
吸入ステロイドは、肺に届く分もありますが、一定量が口腔・咽頭に付着します。ステロイドは局所の免疫を抑えるため、残った薬剤により
口腔カンジダ(白い苔のような付着)
嗄声(声がかすれる)
が起こりやすくなります。吸入後のうがい(可能ならうがい+口すすぎ)で付着した薬を洗い流し、これらを予防します。
 

問4(薬物相互作用)

ワルファリン服用中の患者が毎日納豆を食べ始めた場合、最も起こりやすい変化はどれか。
 ワルファリン作用が強くなり出血しやすくなる
 ワルファリン作用が弱くなり血栓ができやすくなる
 腎排泄が促進される
 半減期が短くなる
正答
正答:② ワルファリン作用が弱くなり血栓ができやすくなる
解説:
ワルファリンは、血液凝固に関与するビタミンK依存性凝固因子の働きを抑えて抗凝固作用を示します。納豆はビタミンKが多いため、摂取量が増えるとワルファリンの作用が相対的に弱まり、INRが下がり、血栓リスクが上がります。
ポイントは「食べたら即ダメ」というより、摂取量の変化(習慣化)がINRに影響することです(ただし納豆は影響が大きく、一般に避けるよう指導されます)。
 

問5(医療安全)

医療安全の「6R」に含まれないものはどれか。
 正しい患者
 正しい薬剤
 正しい保険証
 正しい投与経路
正答
正答:③ 正しい保険証
解説:
6Rは与薬(投薬)時の基本原則で、代表的には
Right patient(正しい患者)
Right drug(正しい薬剤)
Right dose(正しい用量)
Right route(正しい投与経路)
Right time(正しい時間)
Right record(正しい記録)
などを指します(施設により表現が少し異なることがあります)。
「保険証」は医療事務・受付で重要ですが、与薬の6Rには含まれません。
 

問6(考える問題・別案)

症例

「薬が大きくて飲みにくいので、家族が毎回すりつぶして飲ませています。」

問題

この方法にはどのような問題がある可能性があるか。
また、看護師はまず何を確認・相談するとよいか書きなさい。
正答
起こり得る問題(例)
徐放製剤・腸溶錠を粉砕している可能性
→ 一気に放出/胃で壊れる/効き方が変わる/副作用増加
刺激性薬・苦味の強い薬で服薬困難が悪化、誤嚥リスク増
粉砕で薬が飛散し、家族が吸い込む/皮膚付着(抗がん薬等は特に注意)
用量の誤差(すべて飲めない、器具に付着)
配合変化(他の薬・食物に混ぜて不安定化)
看護師がまず確認・相談するとよいこと(流れ)
何の薬を、どの剤形で、どのように粉砕しているか(薬名・錠剤/カプセル/OD錠、回数、粉砕の手順)
そもそも粉砕可否(徐放/腸溶/外観表示)を薬剤師へ確認
代替案の検討
剤形変更(OD錠、散剤、シロップ、貼付、坐剤等)
規格変更(小さい錠剤にする、錠数調整)
服薬補助ゼリーや一包化、服薬姿勢/嚥下評価 など
本人の嚥下状態(むせ、湿性嗄声、食事形態)も併せて評価し、多職種連携
答案例(目安):
「徐放錠や腸溶錠を粉砕すると作用や副作用が変わる危険がある。まず薬名と剤形、粉砕の有無を確認し、薬剤師へ粉砕可否と剤形変更を相談する。」