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プロピルチオウラシル

成分名:プロピルチオウラシル(PTU)
分類:抗甲状腺薬(チオアミド系)

製剤・商品名

  • チウラジール錠50mg
  • プロパジール錠50mg
  • 用量は病状、年齢、妊娠の有無、甲状腺機能検査に応じて調整する

① 薬効群の概要

プロピルチオウラシルは、甲状腺ホルモンの合成を抑えるチオアミド系抗甲状腺薬です。チアマゾールと異なり、末梢でのT₄→T₃変換も抑制します。
通常のバセドウ病治療ではチアマゾールが第一選択となることが多い一方、PTUは妊娠初期甲状腺クリーゼで選択されます。ただし、重篤な肝障害のリスクがあるため、漫然とした長期使用は避けます。

② 作用機序と薬理作用

  • 甲状腺濾胞細胞の甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)を阻害する
  • ヨウ素の有機化とヨードチロシンのカップリングを抑制し、T₃・T₄の新規合成を低下させる
  • 肝臓などの末梢組織で1型脱ヨード酵素を阻害し、T₄からT₃への変換を抑制する
  • 既に合成・貯蔵されているホルモンには直接作用しないため、通常は効果発現まで時間がかかる
⚠️
重要:PTUは「ホルモン合成」と「末梢T₃産生」の両方を抑える。
この特徴から甲状腺クリーゼで用いられます。一方、通常治療では肝障害リスクを考慮し、チアマゾールが優先されることが多い薬です。

③ 類薬との使い分け

薬剤特徴主な注意点
プロピルチオウラシル(PTU)末梢でのT₄→T₃変換も抑制。妊娠初期・甲状腺クリーゼで選択重篤な肝障害、無顆粒球症、ANCA関連血管炎
チアマゾール(MMI)作用が強く持続的で、通常のバセドウ病治療の第一選択無顆粒球症、妊娠初期の催奇形性

④ 主な副作用と看護のポイント

無顆粒球症・白血球減少

  • 初期症状は発熱・咽頭痛・強い倦怠感
  • 出現時は自己判断で飲み続けず、服薬を中止して速やかに受診・血液検査
  • 白血球数・好中球数を確認する

重篤な肝障害

  • PTUで特に注意すべき副作用
  • 食欲不振、悪心、強い倦怠感、褐色尿、黄疸、右上腹部痛を観察する
  • AST・ALT・ビリルビンを確認し、異常や症状があれば直ちに報告する

ANCA関連血管炎

  • 長期投与時に、発熱、関節痛、皮疹、血尿・蛋白尿、喀血、呼吸困難などがみられることがある
  • 腎障害や肺胞出血につながる可能性があるため早期発見が重要

甲状腺機能の変化

  • FT₃・FT₄・TSHを定期的に確認する
  • 効果不足:頻脈、発汗、振戦、体重減少、焦燥感
  • 過量:徐脈、寒がり、浮腫、体重増加、便秘、眠気
🩺

看護師向けチェック

  • 発熱・咽頭痛 → 無顆粒球症を疑う
  • 黄疸・褐色尿・強い倦怠感 → 肝障害を疑う
  • 脈拍、体温、体重、振戦、発汗、意識状態を観察
  • CBC・好中球数、肝機能、FT₃・FT₄・TSHを確認
  • 自覚症状が改善しても自己中断しないよう説明
  • 妊娠希望・妊娠判明時は、自己中断せず早めに主治医へ相談するよう指導
💡
覚え方
PTUは「Peripheral conversionも抑える」「Thyroid storm・妊娠初期で選択」「Uncommonだが重篤な肝障害に注意」と整理します。