プロピルチオウラシル
成分名:プロピルチオウラシル(PTU)
分類:抗甲状腺薬(チオアミド系)
プロピルチオウラシルは、甲状腺ホルモンの合成を抑えるチオアミド系抗甲状腺薬です。チアマゾールと異なり、末梢でのT₄→T₃変換も抑制します。
通常のバセドウ病治療ではチアマゾールが第一選択となることが多い一方、PTUは妊娠初期や甲状腺クリーゼで選択されます。ただし、重篤な肝障害のリスクがあるため、漫然とした長期使用は避けます。
- 甲状腺濾胞細胞の甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)を阻害する
- ヨウ素の有機化とヨードチロシンのカップリングを抑制し、T₃・T₄の新規合成を低下させる
- 肝臓などの末梢組織で1型脱ヨード酵素を阻害し、T₄からT₃への変換を抑制する
- 既に合成・貯蔵されているホルモンには直接作用しないため、通常は効果発現まで時間がかかる
重要:PTUは「ホルモン合成」と「末梢T₃産生」の両方を抑える。
この特徴から甲状腺クリーゼで用いられます。一方、通常治療では肝障害リスクを考慮し、チアマゾールが優先されることが多い薬です。
| 薬剤 | 特徴 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| プロピルチオウラシル(PTU) | 末梢でのT₄→T₃変換も抑制。妊娠初期・甲状腺クリーゼで選択 | 重篤な肝障害、無顆粒球症、ANCA関連血管炎 |
| チアマゾール(MMI) | 作用が強く持続的で、通常のバセドウ病治療の第一選択 | 無顆粒球症、妊娠初期の催奇形性 |
無顆粒球症・白血球減少
- 初期症状は発熱・咽頭痛・強い倦怠感
- 出現時は自己判断で飲み続けず、服薬を中止して速やかに受診・血液検査
- 白血球数・好中球数を確認する
重篤な肝障害
- PTUで特に注意すべき副作用
- 食欲不振、悪心、強い倦怠感、褐色尿、黄疸、右上腹部痛を観察する
- AST・ALT・ビリルビンを確認し、異常や症状があれば直ちに報告する
ANCA関連血管炎
- 長期投与時に、発熱、関節痛、皮疹、血尿・蛋白尿、喀血、呼吸困難などがみられることがある
- 腎障害や肺胞出血につながる可能性があるため早期発見が重要
甲状腺機能の変化
- FT₃・FT₄・TSHを定期的に確認する
- 効果不足:頻脈、発汗、振戦、体重減少、焦燥感
- 過量:徐脈、寒がり、浮腫、体重増加、便秘、眠気
覚え方
PTUは「Peripheral conversionも抑える」「Thyroid storm・妊娠初期で選択」「Uncommonだが重篤な肝障害に注意」と整理します。