導入

症例)
患者:68歳 男性
既往:高血圧、脂質異常症
主訴:「最近、駅まで歩くと胸が締め付けられる感じがする。」
現病歴
  • 坂道や階段で胸部圧迫感が出現
  • 約5分休むと改善する
  • 安静時には症状なし
  • 冷たい朝や食後に起こりやすい
 
安定狭心症の診断で、薬物治療が開始された
薬剤目的
アスピリン100 mg 1日1回抗血小板薬血栓予防
ロスバスタチン5 mg 1日1回スタチンLDL-C低下・動脈硬化進展抑制
アムロジピン5 mg 1日1回Ca 拮抗薬冠血流改善・降圧
ニトログリセリン舌下錠(頓用)硝酸薬発作時の症状改善
問1:運動すると胸痛が出現し、休むと改善する理由は何か。
(解説)運動により心拍数・血圧が上がり心筋の酸素需要が増える一方で、動脈硬化で狭窄した冠動脈では血流(酸素供給)を十分に増やせない。そのため酸素需給のバランスが崩れて一過性の心筋虚血が生じ、狭心痛として現れる。休むと酸素需要が下がり需給バランスが回復するため、症状が改善する(労作性狭心症)。
問2:ニトログリセリンについて、下記のような患者指導を行った。 ニトログリセリン服用後に立ち上がると危険な理由は何か
(解説)ニトログリセリンの強い静脈・動脈拡張作用により急激に血圧が下がるため、立位では脳への血流が一時的に不足し、起立性低血圧によるめまい・失神・転倒を起こしやすいため。発作時は座って(できればもたれて)使用する。
ニトログリセリン
  • 発作時は座って使用する
  • 5分経っても改善しなければ救急要請を考える
  • 1回1錠、必要に応じて5分ごとに追加するが、合計3回使用しても改善しなければ直ちに119番通報する
問3:ニトログリセリンと一緒に服用してはいけない薬は何か。
PDE5阻害薬(シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィルなど)
(解説)NO–cGMP経路が過度に増強され、重篤な低血圧を起こす危険がある。