息切れはよくなったが、立つとふらつく
症例)
78歳。慢性心不全と高血圧の治療中。
3日前から息切れと下腿浮腫が悪化し、体重が普段より3 kg増加したため入院しました。胸部X線検査では肺うっ血が認められ、次の薬が追加開始されました。
フロセミド錠20 mg:朝食後

患者
72歳
身長:165 cm
体重:62.0 kg(普段は58.0 kg)
既往歴:高血圧、心筋梗塞、2型糖尿病
両下腿浮腫あり
横になると息苦しい
夜間、息苦しくて目が覚める
入院時
SpO₂:93%
血圧:142/84 mmHg
脈拍:92回/分
Na:140 mEq/L
K:4.1 mEq/L
血清クレアチニン:0.9 mg/dL
肺うっ血と体液貯留に対して、次の薬が開始されました。
フロセミド錠20 mg 1日1回 朝食後
Q1.フロセミドを使用する主な目的は?
選択肢
a. 心臓の収縮力を直接強くする
b. 体内に貯留したNaと水分を排出し、うっ血を改善する
c. 血液中のカリウムを増やす
d. 心拍数を低下させる
Q2.投与前に確認しておく情報は?
体重
血圧、脈拍
呼吸状態、SpO₂
浮腫
尿量、排尿状態
水分摂取量
Na、K
血清クレアチニン、eGFR
ふらつきや転倒歴
併用薬
普段の体重
第2場面:3日後
フロセミド開始から3日後、次の変化がみられました。
体重:62.0 kg → 59.0 kg
尿量:1日2,300 mL
SpO₂:97%
呼吸苦:改善
夜間の呼吸困難:消失
下腿浮腫:軽減
血圧:112/68 mmHg
脈拍:82回/分
患者は次のように話しています。
「昨日は横になって眠れました」
「靴も少し履きやすくなりました」
Q3.フロセミドの効果を示す所見は?
選択肢
a. 尿量が増えたことだけ
b. 体重が減少し、呼吸苦と浮腫が改善したこと
c. 血圧が下がったことだけ
d. 排尿回数が増えたことだけ
第3場面:さらに2日後
患者がトイレから戻った際、ベッドの横でふらついていました。
「立ち上がると、クラッとします」
「口が渇いています」
「足がつることもあります」
「尿が出るように、水分はできるだけ飲まないようにしています」
観察・検査結果
体重:57.5 kg
血圧:94/58 mmHg
立位血圧:82/50 mmHg
脈拍:104回/分
口腔内乾燥あり
下腿浮腫:消失
尿量:前日2,700 mL
Na:133 mEq/L
K:3.0 mEq/L
血清クレアチニン:1.4 mg/dL
Q4.現在、最も考えられる状態は?
選択肢
a. 心不全がさらに悪化して体液が貯留している
b. 過剰な利尿により循環血液量が減少している
c. フロセミドがまったく効いていない
d. 水分をもっと制限する必要がある
Q5.低カリウム血症で注意する症状は?
選択肢
a. 筋力低下、足がつる、動悸、不整脈
b. 浮腫と急激な体重増加のみ
c. 発熱と咳嗽
d. 皮膚のかゆみのみ
Q6.この時点で優先する看護は?
この時点で優先する看護
転倒を防ぐため、患者を安全な姿勢で休ませる
意識状態とバイタルサインを確認する
起立時の血圧変化を確認する
心電図、不整脈、動悸の有無を確認する
尿量、水分摂取量、体重の推移を確認する
服薬状況と実際の服用量を確認する
医師・薬剤師へ報告する
自己判断でフロセミドを中止・増量しない
報告する情報
フロセミドの投与量と投与期間
体重の推移
血圧と脈拍
起立時のふらつき
尿量と水分摂取量
浮腫・呼吸苦の改善状況
Na、K
血清クレアチニン
筋症状、動悸、不整脈の有無
第4場面:退院時の患者説明
患者は次のように尋ねました。
「この薬は尿を出す薬だから、むくんだときは自分で2錠飲んでもよいですか?」
「外出する日は、トイレが心配なので飲まなくてもよいですか?」
Q7.適切な説明は?
「この薬は、体内の余分な水分を調節して、心臓や呼吸の負担を軽くする薬です。量を増やしたり中止したりすると、脱水や心不全の悪化につながることがあるため、自己判断で調節しないでください」
発展問題:スピロノラクトンが追加されたら
心不全治療として、スピロノラクトンが追加されることになりました。
Q8.追加後、特に注意する検査値は?
選択肢
a. カリウムの低下だけ
b. カリウムの上昇と腎機能
c. 血糖値だけ
d. 白血球数だけ