抗利尿ホルモン
- 抗利尿ホルモン(ADH/バソプレシン)は下垂体後葉ホルモンで、腎臓での水再吸収を増やし尿量を減らす。
- 薬としては、バソプレシン(V1・V2作用)と、腎臓選択性を高めたデスモプレシン(主にV2作用)などを用いる。
- 主な用途:中枢性尿崩症、(デスモプレシンは)夜尿症・夜間多尿、血友病A/von Willebrand病の出血予防、(バソプレシンは)食道静脈瘤出血の止血補助や血管拡張性ショックの昇圧補助など。
- V2受容体(腎集合管)刺激 → アクアポリン2の発現・移行↑ → 水再吸収↑ → 尿量↓(抗利尿作用)。
- V1受容体(血管平滑筋)刺激 → 血管収縮 → 血圧↑(主にバソプレシンで臨床的に意識する)。
重要:最大の注意点は水貯留→低Na血症(水中毒)です。
頭痛・悪心・傾眠・けいれんなどがあれば重症低Na血症を疑い、飲水量・尿量・Naを確認し、速やかに報告します。
| 代表薬(一般名) | 先発品例 | 特徴 |
|---|---|---|
| デスモプレシン | デスモプレシン点鼻液/OD錠 など | 主にV2作用。中枢性尿崩症、夜尿症、夜間多尿など。低Na血症に注意。 |
| バソプレシン | ピトレシン® など | V1・V2作用。昇圧(血管収縮)や止血補助などで用いることがある。 |
- 水中毒/低Na血症:頭痛、悪心、倦怠感、傾眠、意識変容、けいれん。飲水量制限の指示がある場合は遵守支援。
- 入出量:尿量、体重、浮腫、口渇の有無。尿崩症では「尿量↓・口渇↓」が効果の目安。
- バイタル:血圧(特にバソプレシン投与時)、脈拍。
- 基礎疾患の症状:夜尿・多尿の改善、出血傾向(適応がある場合)など。
- 投与経路の管理:点鼻は手技、内服は水分摂取量、注射はポンプ管理・投与速度と循環動態を確認。
補足
- 「腎臓(V2)で水を戻す」が基本。副作用は「水を戻しすぎる=低Na」で整理すると覚えやすいです。