05
対面授業
90分の構成
| 時間 | 内容 | 方法 |
|---|---|---|
| 0~35分 | 呼吸器薬と急変の基本 | 座学 |
| 35~50分 | 吸入デバイス | 手技整理演習 |
| 50~68分 | 吸入手技不良による増悪 | 症例A |
| 68~85分 | アナフィラキシー | 症例B |
| 85~90分 | 振り返り | Exit Ticket |
0~35分|座学
0~5分|事前学習確認
- 気道を狭くする三つの要因は何か
- 気管支拡張薬と吸入ステロイド薬では目的がどう違うか
- pMDIとDPIでは、薬を吸い込む方法がどう違うか
5~18分|喘息・COPD治療薬
喘息
中心となる病態は気道炎症と変動性のある気流制限である。
- ICSを含む治療:気道炎症を抑える
- β₂刺激薬:気管支を広げる
- 症状、増悪、吸入手技、服薬状況を評価する
成人・思春期喘息では、SABAだけに依存せず、ICSを含む治療が必要になる。GINA 2026
COPD
- LAMA・LABAなどの気管支拡張薬が中心
- 症状や増悪歴などに応じて治療を組み合わせる
- 禁煙、ワクチン、呼吸リハビリテーションなども重要
- 吸入手技を繰り返し確認する
日本呼吸器学会の2026年版ガイドラインでも、吸入薬の薬剤・デバイス特性と吸入指導が独立項目として扱われている。日本呼吸器学会
18~28分|咳・痰・酸素療法
咳・痰の観察
- 乾性咳嗽か湿性咳嗽か
- 痰の色・粘度・量
- 喀出できているか
- 呼吸困難
- 発熱
- 血痰
- 胸痛
- 鎮静・呼吸抑制
酸素療法
酸素も投与量、投与方法、治療目標を確認する必要がある薬物療法である。
観察項目:
- SpO₂
- 呼吸数
- 呼吸の深さ
- 意識状態
- 呼吸困難
- 投与デバイス
- 酸素流量・設定
- 皮膚・粘膜
- 必要に応じた血液ガス
一律のSpO₂を目標にするのではなく、疾患・病態と指示された目標範囲を確認する。
28~35分|アナフィラキシー
- 急速に進行し得る全身性の過敏反応
- 皮膚症状がない場合もある
- 気道、呼吸、循環の異常を優先して評価する
- 第一選択薬はアドレナリン筋肉内注射
日本アレルギー学会「アレルギーの手引き2026」では、アドレナリン筋注を第一選択とし、0.01 mg/kg、最大量は成人0.5 mg、小児0.3 mgとしている。日本アレルギー学会
35~50分|吸入デバイス整理演習
デバイス比較
| デバイス | 吸入方法の基本 | 注意点 |
|---|---|---|
| pMDI | 噴霧に合わせ、ゆっくり深く吸う | 噴霧との同調、スペーサー |
| DPI | デバイスに応じて、速く深く吸う | 吸気流、デバイス内への呼気 |
| SMI | 噴霧に合わせ、ゆっくり吸う | 準備操作と同調 |
| ネブライザー | 通常呼吸で吸入する | 組み立て、残液、洗浄・衛生管理 |
製品ごとに操作方法が異なるため、最終的には個々のデバイスの説明書・指導手順を確認する。
学生に実施させること
- デバイスを準備する
- 吸入前の呼気を確認する
- 吸入速度を選ぶ
- 吸入後に息を止める
- ICS使用後の含嗽を説明する
- 患者に実際の手技を再現してもらう
「使い方は分かりますか」と聞くだけでなく、実際に吸入してもらって確認する。
50~68分|症例A
吸入手技不良による増悪
74歳男性。COPDでLAMA/LABA配合のDPIを使用している。最近、息切れが強くなり、吸入薬を使っても効いた感じがしないという。手技を確認すると、吸入前に息を吐かず、弱い吸気で吸入し、吸入後すぐに息を吐いていた。ときどきデバイス内へ息を吹き込んでいる。痰の量も増えている。
問1|薬が効かない理由は病気の悪化だけか
考えられるもの:
- 吸入手技不良
- 吸気流不足
- 服薬忘れ
- デバイスが患者に合っていない
- COPD増悪
- 呼吸器感染症
- 痰による気道狭窄
- 喫煙継続
- 併存疾患
問2|追加で何を確認するか
- 呼吸数
- SpO₂
- 呼吸困難の程度
- 会話可能性
- 呼吸音
- 痰の量・色・粘度
- 発熱
- 吸入回数
- 実際の吸入手技
- デバイスの残量
- 吸気力
- 喫煙状況
- 増悪歴
問3|看護師として何をするか
- 呼吸状態と緊急性を評価する
- 実際の吸入手技を確認する
- デバイスに応じた手順を再指導する
- 患者に手技を再現してもらう
- 吸気流や身体機能に合わない可能性を共有する
- 痰・発熱など増悪徴候を医療者間で報告する
68~85分|症例B
アナフィラキシー
45歳女性。抗菌薬の点滴開始10分後、全身の紅斑、嗄声、喘鳴が出現した。血圧78/46 mmHg、脈拍124回/分、SpO₂ 90%。「喉が詰まる」と訴えている。
問1|何が起きているか
- 急速に出現
- 皮膚症状
- 気道症状
- 呼吸症状
- 循環不全
から、アナフィラキシーを考える。
問2|最初に何をするか
- 原因と考えられる薬剤投与を止める
- 応援・緊急対応を要請する
- ABCを評価する
- アドレナリン筋注を行うための対応を進める
- 酸素投与
- 静脈路・輸液
- 継続的なバイタルサイン評価
抗ヒスタミン薬やステロイド薬は補助的治療であり、アドレナリン筋注の代わりにはならない。
アドレナリンの作用
| 受容体 | 主な作用 |
|---|---|
| α₁ | 血管収縮、血圧維持、粘膜浮腫軽減 |
| β₁ | 心拍数・心収縮力増加 |
| β₂ | 気管支拡張など |
投与後の観察
- 気道狭窄・嗄声
- 呼吸数・呼吸音
- SpO₂
- 血圧・脈拍
- 心電図
- 意識状態
- 皮膚症状
- 消化器症状
- 投与時刻
- 症状の再燃
85~90分|Exit Ticket
吸入薬が効かないと訴える患者で、薬剤変更を考える前に確認することを二つ挙げ、理由を説明せよ。
解答例
- 実際の吸入手技:薬が気道まで到達していない可能性があるため
- 服薬状況:定期薬を使用できていない可能性があるため
- 吸気力:DPIを作動させるために必要な吸気流が得られていない可能性があるため
- デバイスの残量:薬剤が残っていない可能性があるため