10
4.排尿障害治療薬
排尿障害は、まず次の二つに分ける。
| 障害 | 主な症状 |
|---|---|
| 蓄尿障害 | 頻尿、尿意切迫、切迫性尿失禁 |
| 排出障害 | 尿勢低下、排尿困難、残尿、尿閉 |
蓄尿障害に用いる薬
| 薬効群 | 作用 | 注意点 |
|---|---|---|
| 抗ムスカリン薬 | 膀胱排尿筋の過剰な収縮を抑える | 口渇、便秘、尿閉、認知機能への影響 |
| β₃受容体作動薬 | 蓄尿期の膀胱を弛緩させる | 血圧、脈拍、尿閉 |
| ボツリヌス毒素膀胱壁内注入 | 神経伝達を抑える | 残尿、尿閉、尿路感染 |
排出障害に用いる薬
| 薬効群 | 作用 | 注意点 |
|---|---|---|
| α₁遮断薬 | 前立腺・尿道平滑筋を弛緩させる | 起立性低血圧、めまい、転倒 |
| 5α還元酵素阻害薬 | 前立腺容積を縮小させる | 効果発現までの時間、性機能関連 |
| PDE5阻害薬 | 下部尿路の平滑筋などに作用 | 硝酸薬との併用、血圧低下 |
「頻尿だから抗ムスカリン薬」と単純に判断すると、残尿や尿閉を悪化させる場合がある。投与前後の残尿、排尿量、下腹部膨満を確認する。
5.貧血と造血因子製剤
貧血は原因から考える
| 主な原因 | 検査の方向 | 治療例 |
|---|---|---|
| 鉄欠乏 | フェリチン、TSAT、MCVなど | 鉄補充 |
| ビタミンB₁₂・葉酸欠乏 | MCV、各ビタミン値 | 欠乏物質の補充 |
| 腎性貧血 | CKD、EPO産生低下 | ESA、HIF-PH阻害薬など |
| 出血 | 出血部位、便潜血など | 原因治療、必要な補充 |
| 骨髄抑制 | 白血球・血小板も低下 | 原因治療、支持療法 |
鉄剤
経口鉄剤
- 悪心
- 腹痛
- 便秘
- 黒色便
- 他薬との相互作用
鉄剤による黒色便は起こり得るが、消化管出血による黒色便との区別が必要になる。
静注鉄剤
- 過敏反応
- 血圧低下
- 鉄過剰
- 製剤ごとの投与方法
腎性貧血治療薬
| 薬効群 | 作用 | 観察 |
|---|---|---|
| ESA | 赤血球産生を刺激する | Hb、血圧、血栓リスク |
| HIF-PH阻害薬 | 内因性EPO産生や鉄利用を促す | Hb、鉄指標、血栓など |
| 鉄剤 | 造血に必要な鉄を補う | フェリチン、TSAT、副作用 |
ESAを投与すればすべてのCKD貧血が改善するわけではない。鉄欠乏、出血、感染・炎症、栄養状態なども評価する。
8.段階提示型症例
第1段階|CKDと薬物蓄積
82歳女性。CKDでeGFR 22mL/min/1.73㎡。食欲低下と下痢が続いている。腎排泄型の薬が通常量で追加され、3日後から強い眠気、ふらつき、手足の不随意運動が出現した。
Q1|何が起きている可能性があるか
腎機能低下と脱水により薬物排泄が低下し、薬剤が蓄積している可能性を考える。
Q2|確認することは何か
- 薬剤名
- 1回量と投与間隔
- 開始・増量時期
- 最終服用時刻
- eGFRの推移
- 尿量
- 水分摂取、下痢、嘔吐
- 意識、呼吸、ふらつき
- 併用薬
- 透析の有無
Q3|看護師として何をするか
- 意識・呼吸・循環を評価する
- 転倒を予防する
- 薬剤と症状の時間関係を整理する
- 腎機能、尿量、投与量を含めて報告する
- 自己判断で増減するのではなく、用量・間隔の再評価につなげる