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3.糖尿病薬を作用点で整理する
糖尿病薬の全体像
| 薬効群 | 主な作用 | 特に注意すること |
|---|---|---|
| インスリン | 不足するインスリンを補う | 低血糖、食事、投与量、取り違え |
| スルホニル尿素薬 | インスリン分泌を促進 | 低血糖、遷延性低血糖 |
| 速効型インスリン分泌促進薬 | 食後の分泌を促進 | 食事を摂らない場合の低血糖 |
| DPP-4阻害薬 | 内因性インクレチン作用を増強 | 腎機能による用量調整が必要な薬がある |
| GLP-1受容体作動薬 | 血糖依存的分泌促進、食欲・胃排出に影響 | 悪心、嘔吐、食事摂取低下 |
| ビグアナイド薬 | 肝糖産生を抑制 | 腎機能、脱水、低酸素状態、乳酸アシドーシス |
| チアゾリジン薬 | インスリン抵抗性を改善 | 浮腫、心不全、体重増加 |
| α-グルコシダーゼ阻害薬 | 糖質吸収を遅らせる | 腹部症状、低血糖時はブドウ糖で対応 |
| SGLT2阻害薬 | 尿中への糖排泄を促進 | 脱水、尿路・性器感染、ケトアシドーシス |
| 配合薬 | 複数機序を組み合わせる | 成分の重複、薬効の見落とし |
糖尿病薬は「新しい薬ほど強い」「HbA1cだけで選ぶ」というものではない。心不全、CKD、肥満、低血糖リスク、年齢、食事、認知・生活状況などによって治療選択が変わる。
7.B/C領域の整理
脂質異常症治療薬
| 薬効群 | 主な作用 | 重要な観察 |
|---|---|---|
| スタチン | 肝臓でのコレステロール合成を抑える | 筋症状、CK、肝機能、相互作用 |
| 小腸コレステロール吸収阻害薬 | 小腸からの吸収を抑える | 肝機能、併用薬 |
| PCSK9阻害薬 | LDL受容体の分解を抑える | 注射部位、治療継続 |
| フィブラート系など | 中性脂肪を低下させる | 腎機能、肝機能、筋症状 |
骨粗鬆症治療薬
| 治療方向 | 代表的な薬効群 | 重要な注意点 |
|---|---|---|
| 骨吸収を抑える | ビスホスホネート、デノスマブ、SERMなど | 低Ca血症、顎骨、投与法 |
| 骨形成を促進する | 副甲状腺ホルモン関連薬など | 投与期間、Ca |
| 骨形成促進+骨吸収抑制 | 抗スクレロスチン抗体 | 心血管病歴など |
| Ca代謝を整える | 活性型ビタミンD製剤など | 高Ca血症、腎機能 |
経口ビスホスホネート薬では、薬剤ごとの指示に従い、
- 起床時など空腹時に服用
- 水で服用
- 服用後は一定時間横にならない
- 飲食や他薬との間隔を空ける
といった服薬方法が重要になる。
高尿酸血症・痛風治療薬
急性発作時
目的は炎症と疼痛を抑えることである。
- NSAIDs
- コルヒチン
- 副腎皮質ステロイド薬
などが用いられる。
長期管理
目的は血清尿酸値を低下させ、発作・尿路結石・関節障害などを予防することである。
- 尿酸生成抑制薬
- 尿酸排泄促進薬
- 尿酸分解酵素薬など
栄養・ビタミン・微量元素関連薬
補充は、欠乏や必要性を確認して行う。
- 脂溶性ビタミンは体内に蓄積しやすい
- ビタミンKは抗凝固薬に影響する
- 鉄・Ca・Mgなどは他薬の吸収に影響する
- 腎機能低下時は電解質・微量元素の過剰に注意する
「ビタミンだから安全」「多いほどよい」という理解は間違っている。
9.段階提示型症例
第1段階|食事摂取不良とインスリン
78歳女性。2型糖尿病で入院中。持効型インスリンと毎食前の超速効型インスリンを使用している。朝食前血糖98mg/dL。悪心があり、「今日は食べられない」と話している。eGFR 28mL/min/1.73㎡。
Q1|投与前に確認することは何か
- インスリンの名称と種類
- 投与量
- 投与時刻
- 食事の準備・摂取予定
- 悪心・嘔吐
- 現在の血糖値
- 直前の低血糖
- 腎機能
- 投与指示や食事摂取不良時の指示
Q2|食べられないので、すべてのインスリンを中止してよいか
一律に中止するのは適切ではない。
- 追加インスリンは食事摂取との関係が大きい
- 基礎インスリンは空腹時の糖産生を抑える役割がある
- 糖尿病の病型や病状によっては、中止により著しい高血糖やケトアシドーシスを起こす
自己判断せず、血糖・食事・インスリンの種類を整理して確認・報告する。
第2段階|低血糖
超速効型インスリン投与後、朝食をほとんど摂取できなかった。1時間後、冷汗、手指振戦、反応の鈍さがみられた。血糖値48mg/dL。
Q3|何が起きているか
食事摂取不足とインスリン作用による低血糖を考える。腎機能低下も低血糖の遷延に関与する可能性がある。
Q4|最初に何を評価するか
- 意識
- 嚥下可能性
- 呼吸・循環
- 血糖値
- インスリンの種類・投与時刻
- 食事摂取量
- 他の血糖降下薬
Q5|改善後に何をするか
- 血糖を再測定する
- 症状の再燃を観察する
- 食事摂取量を確認する
- 原因を分析する
- 次回のインスリン・食事調整につなげる
- 投与時刻や食事確認手順を振り返る
血糖が一度上がっても、作用時間の長いインスリンや薬剤では低血糖が再発する場合がある。