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3.NSAIDsとアセトアミノフェン
NSAIDs
アラキドン酸
↓ COX
プロスタグランジン
↓
炎症・疼痛・発熱
NSAIDsはCOXを阻害して、プロスタグランジン産生を抑える。
効果と副作用は同じ機序から考える
| プロスタグランジン低下の部位 | 起こり得ること |
|---|---|
| 炎症部位 | 炎症・疼痛・発熱の軽減 |
| 胃粘膜 | 潰瘍・消化管出血 |
| 腎臓 | 腎血流低下、AKI、Na・水貯留 |
| 血小板 | 止血への影響 |
| 気道 | 一部患者で喘息増悪 |
| 心血管系 | 血圧・心不全・血栓リスクへの影響 |
NSAIDs投与前後に確認すること
- 潰瘍・消化管出血歴
- 腎機能
- 脱水
- 心不全・高血圧
- 喘息歴
- 抗凝固薬・抗血小板薬
- 他のNSAIDs
- 高齢、低体重
- 疼痛の原因と効果
アセトアミノフェン
アセトアミノフェンはNSAIDsではない。解熱・鎮痛作用を持つが、末梢の抗炎症作用は強くない。
注意点
- 肝機能障害
- 低栄養
- 多量飲酒
- 敗血症など
- 配合剤との成分重複
- 過量投与
- 投与量と投与間隔
総合感冒薬や鎮痛配合剤にも含まれるため、商品名だけでなく成分を確認する。
4.オピオイド・がん疼痛管理
μ受容体を介する主な作用
| 作用 | 患者に現れる変化 |
|---|---|
| 鎮痛 | 痛みの軽減、動作・睡眠の改善 |
| 呼吸中枢抑制 | 呼吸数低下、傾眠 |
| 消化管運動抑制 | 便秘 |
| 化学受容器引金帯への作用 | 悪心・嘔吐 |
| 中枢神経作用 | 眠気、せん妄など |
鎮痛薬の選択
以前の「弱い鎮痛薬から順番に必ず階段状に上げる」という固定的な理解は正確ではない。
現在は、
- 痛みの強さ
- 痛みの機序
- 持続痛・突出痛
- 臓器機能
- 既往歴
- 患者の希望
から適切な薬を選び、効果と副作用を再評価する。
定時薬とレスキュー薬
| 薬 | 目的 |
|---|---|
| 定時薬 | 持続痛を継続的に抑える |
| レスキュー薬 | 突出痛を速やかに軽減する |
効果判定
- NRSなどの疼痛強度
- 安静時痛・体動時痛
- 睡眠
- 食事
- 離床・歩行
- レスキュー使用回数
- 効果発現までの時間
- 効果持続時間
副作用の観察
- 呼吸数
- 呼吸の深さ
- SpO₂
- 意識・傾眠
- 瞳孔
- 血圧
- 悪心・嘔吐
- 排便
- 尿閉
- せん妄
便秘
オピオイドによる便秘には耐性が形成されにくい。禁忌がなければ、開始時から予防的な便秘対策を検討する。
呼吸抑制
眠っているから呼吸数を確認しなくてよい、という判断は危険である。過鎮静が呼吸抑制に先行することがある。
重度の呼吸抑制では、気道・呼吸への対応とともに、必要に応じてオピオイド拮抗薬を使用する。
9.症例1|オピオイド開始後
74歳男性。進行がんによる持続痛に対してオピオイドが開始された。翌朝、痛みはNRS 8から3に改善した。呼びかけると開眼するがすぐ眠る。呼吸数8回/分。3日間排便がない。
Q1|鎮痛できているので問題ないか
問題がある。鎮痛効果は得られているが、過鎮静・呼吸抑制と便秘を評価する必要がある。
Q2|直ちに確認すること
- 意識
- 呼吸数・深さ
- SpO₂
- 血圧・脈拍
- 瞳孔
- 最終投与時刻
- 定時薬・レスキュー使用量
- 腎・肝機能
- 併用する睡眠薬・抗不安薬
- 疼痛
Q3|便秘について確認すること
- 最終排便日
- 便性状
- 排ガス
- 腹痛・膨満
- 悪心・嘔吐
- 腸閉塞徴候
- 下剤の使用状況
- 食事・水分・活動量
呼吸抑制への対応を優先しつつ、鎮痛を不必要に失わないよう、原因と投与状況を整理して治療調整につなげる。
10.症例2|発熱性好中球減少症
58歳女性。抗がん薬治療後10日目。「少し寒気がする」と話し、体温38.2℃。好中球数300/μL。血圧96/58mmHg、脈拍112回/分。
Q1|何を考えるか
発熱性好中球減少症を考える。
一般に、一定以上の発熱と好中球数500/μL未満、または近く500/μL未満になると予測される状態を組み合わせて評価する。体温の測定部位などを含め、施設基準も確認する。
Q2|なぜ緊急性が高いか
好中球減少時は局所の炎症反応が乏しく、明確な感染巣がなくても急速に敗血症へ進行する可能性がある。
Q3|確認・対応
- ABC
- 意識
- 血圧、脈拍、呼吸数、SpO₂
- 悪寒戦慄
- 好中球数
- 中心静脈カテーテル
- 口腔、皮膚、肛門周囲
- 咳、排尿症状、下痢
- 血液培養などの採取
- 抗菌薬開始時刻
可能なら抗菌薬投与前に適切な培養を採取するが、重症患者の治療開始を不当に遅らせない。
11.症例3|血管外漏出
乳がん患者に末梢静脈から抗がん薬を投与中。患者が「針の周りが焼けるように痛い」と訴えた。刺入部周囲に腫脹と発赤がある。
Q1|最初に行うこと
- 投与を直ちに停止する
- ルートを抜去せず、まず留置針から可能な範囲で薬液を吸引する
- ルート内をフラッシュしない
- 医師・薬剤師などへ速やかに連絡する
- 薬剤名、濃度、投与量、漏出推定量を確認する
Q2|その後の対応
- 漏出範囲をマーキングする
- 皮膚所見を記録する
- 写真・計測など施設手順に従う
- 患肢を挙上する
- 薬剤ごとに冷罨法・温罨法を選択する
- 必要な解毒薬・処置を確認する
- 経時的に疼痛、水疱、壊死を観察する
すべての抗がん薬漏出に同じ罨法を行うのは間違っている。薬剤によって対応が異なる。