鎮痛薬
鎮痛薬1|鎮痛薬の比較2|生活から見る観察ポイント🍽 食事観察することアセトアミノフェンNSAIDsオピオイド看護の視点🚽 排泄観察することオピオイドNSAIDs看護の視点🌙 睡眠観察することオピオイドアセトアミノフェン・NSAIDs看護の視点🚶 運動・活動観察することオピオイドNSAIDs看護の視点🧠 認知機能観察することオピオイドアセトアミノフェン・NSAIDs看護の視点3|+α:呼吸オピオイド観察すること看護の視点NSAIDs看護の視点4|薬剤別の主な観察項目アセトアミノフェンNSAIDs観察注意するタイミングオピオイド観察注意するタイミング5|見逃したくないサイン⚠️ アセトアミノフェン⚠️ NSAIDs消化管腎・循環呼吸⚠️ オピオイド6|鎮痛薬を使用している患者の見方① 痛みはどうなったか② 生活はどう変わったか③ 薬による新たな問題はないか7|Evidence MemoオピオイドNSAIDsアセトアミノフェン8|この早見表を使うときの注意
鎮痛薬
鎮痛薬を使用している患者では、疼痛が軽減したかだけでなく、薬剤によって新たな症状や生活上の支障が生じていないかを確認する。
基本となる観察軸は、
食事|排泄|睡眠|運動・活動|認知機能
の5領域とする。
鎮痛薬では、これに加えて呼吸を重要な観察項目として確認する。
1|鎮痛薬の比較
2|生活から見る観察ポイント
🍽 食事
観察すること
- 食欲
- 食事摂取量
- 悪心・嘔吐
- 胃痛・胃部不快感
- 口渇
- 食事中の覚醒状態
- むせ
アセトアミノフェン
通常は食事への影響は比較的少ない。
悪心や食欲低下が持続する場合は、肝障害など他の症候がないかも確認する。
NSAIDs
- 胃痛
- 胃部不快感
- 悪心
- 食欲低下
などに注意する。
黒色便や吐血があれば、上部消化管出血を疑う重要なサインとなる。
オピオイド
- 悪心
- 嘔吐
- 口渇
- 食欲低下
がみられることがある。
眠気が強い場合は、食事摂取量だけでなく、食事中の覚醒状態や嚥下の安全性にも注意する。
看護の視点
「食べられない」のは、痛みのためか、薬剤による悪心・眠気のためかを考える。
🚽 排泄
観察すること
- 最終排便日
- 排便回数
- 便性状
- いきみ
- 排便困難
- 腹部膨満
- 尿量
- 浮腫
オピオイド
便秘は代表的な有害作用である。
排便回数だけではなく、
- 硬便
- 強いいきみ
- 排便困難
- 残便感
- 腹部膨満
まで確認する。
NSAIDs
腎血流低下やNa・水分貯留により、
- 尿量低下
- 浮腫
- 体重増加
などが生じることがある。
看護の視点
オピオイドでは「便」、NSAIDsでは「尿」を意識して確認する。
🌙 睡眠
観察すること
- 疼痛で眠れないか
- 鎮痛後に眠れるようになったか
- 日中の眠気
- 会話中に眠り込まないか
- 呼びかけへの反応
- 夜間の覚醒状態
オピオイド
眠気・傾眠が生じることがある。
特に開始時や増量時には、疼痛が軽減して眠れているのか、薬剤による過鎮静なのかを区別する。
アセトアミノフェン・NSAIDs
薬剤そのものによる眠気よりも、疼痛軽減によって睡眠が改善する場合が多い。
看護の視点
「眠れている」と「鎮静されすぎている」は同じではない。
疼痛と覚醒状態をセットで評価する。
🚶 運動・活動
観察すること
- 起き上がり
- 立位
- 歩行
- トイレ移動
- ADL
- めまい
- ふらつき
- 転倒
オピオイド
眠気、めまい、ふらつきにより転倒リスクが高くなることがある。
特に、
- 初回歩行
- 夜間のトイレ移動
- 起床時
に注意する。
NSAIDs
浮腫、腎機能悪化、全身倦怠感などを介して活動性が低下することがある。
看護の視点
鎮痛後は、
「痛みが減ったか」
だけでなく、
「実際に動けるようになったか」「安全に動けているか」
まで確認する。
🧠 認知機能
観察すること
- 覚醒状態
- 見当識
- 注意力
- 会話の反応
- 混乱
- せん妄
- 普段との違い
オピオイド
- 眠気
- 鎮静
- 混乱
が生じることがある。
高齢者では、普段とのわずかな違いにも注意する。
アセトアミノフェン・NSAIDs
通常、認知機能への直接的な影響は中心的ではない。
ただし、出血、腎機能障害、脱水などによって全身状態が悪化した場合には、認知状態にも影響する可能性がある。
看護の視点
「いつもより眠い」「会話がかみ合わない」などの変化と、薬剤の開始・増量との時間関係を見る。
3|+α:呼吸
鎮痛薬では、生活5領域に加えて呼吸を独立して確認する。
オピオイド
観察すること
- 呼吸数
- 呼吸の深さ
- SpO₂
- 意識レベル
- 鎮静の程度
- 呼びかけへの反応
- 睡眠中の呼吸状態
オピオイドでは、まれでも重篤になりうる呼吸抑制に注意する。
特に、
は注意する。
看護の視点
眠気が強くなったら、呼吸も確認する。
NSAIDs
NSAIDs過敏喘息では、服用後に
- 喘鳴
- 呼吸苦
- 鼻閉
- 鼻汁
などが生じることがある。
看護の視点
喘息の有無だけでなく、
「以前、鎮痛薬を服用したあとに息苦しくなったことがないか」
という既往も確認する。
4|薬剤別の主な観察項目
アセトアミノフェン
観察
- 疼痛
- 1日の総投与量
- 他の配合剤・市販薬との重複
- AST、ALTなど肝機能
- 食事摂取量
- 栄養状態
注意するタイミング
NSAIDs
観察
- 疼痛
- 胃痛・腹部症状
- 黒色便
- 血圧
- 浮腫
- 体重
- 尿量
- Cr/eGFR
- K
- 喘鳴・呼吸苦
注意するタイミング
オピオイド
観察
- 疼痛
- 意識レベル
- 鎮静の程度
- 呼吸数
- SpO₂
- 悪心・嘔吐
- 食事摂取量
- 排便
- 歩行状態
- 転倒
- 認知状態
注意するタイミング
5|見逃したくないサイン
⚠️ アセトアミノフェン
- 強い倦怠感
- 持続する悪心・嘔吐
- 黄疸
- 肝機能異常
複数の処方薬・市販薬にアセトアミノフェンが含まれている場合があるため、総投与量を確認する。
⚠️ NSAIDs
消化管
- 黒色便
- 吐血
- 強い腹痛
- 貧血症状
腎・循環
- 急な尿量低下
- 急な浮腫
- 体重増加
- 血圧上昇
- 息切れ
呼吸
- 服用後の喘鳴
- 急な呼吸苦
⚠️ オピオイド
- 強い眠気
- 呼びかけへの反応低下
- 会話が続かない
- 呼吸数低下
- 浅い呼吸
- SpO₂低下
「強い眠気+呼吸状態の変化」は特に注意する。
6|鎮痛薬を使用している患者の見方
鎮痛薬を使用した後は、次の3段階で評価する。
① 痛みはどうなったか
- 安静時疼痛
- 体動時疼痛
- 痛みの部位・性状
- 鎮痛前後の変化
↓
② 生活はどう変わったか
- 食べられるようになったか
- 排泄できているか
- 眠れるようになったか
- 動けるようになったか
- 認知状態は保たれているか
↓
③ 薬による新たな問題はないか
- 呼吸抑制
- 過鎮静
- 転倒
- 便秘
- 消化管出血
- 腎機能悪化
- 肝障害
疼痛スコアの改善だけでなく、患者の生活が改善しているかまで評価する。
7|Evidence Memo
オピオイド
オピオイドでは、便秘、悪心・嘔吐、眠気、混乱などが代表的な有害作用である。
また、呼吸抑制は頻度だけでみれば一般的な症状ではないが、重篤化する可能性があるため、開始・増量時や他の中枢神経抑制薬併用時には重要な観察項目となる。
高齢者では、オピオイド使用と転倒・転倒関連外傷・骨折との関連も報告されている。
NSAIDs
NSAIDsでは、消化管障害だけでなく、腎血流低下による急性腎障害や、Na・水分貯留による浮腫、血圧上昇などにも注意する。
特に、脱水、高齢、腎機能低下、心不全、利尿薬やRAA系阻害薬との併用時ではリスクが高くなる。
アセトアミノフェン
通常量では比較的忍容性の高い鎮痛薬だが、過量投与では重篤な肝障害を生じる可能性がある。
単剤だけでなく、配合剤や市販薬も含めた1日総投与量の把握が重要である。
8|この早見表を使うときの注意
症状が出現した場合には、薬剤だけを原因と決めつけず、
- 原疾患
- 感染
- 脱水
- 出血
- 電解質異常
- 他の併用薬
なども含めて評価する。
この早見表は、薬剤と患者の状態を結びつけて考えるための補助資料として使用する。