家族性高コレステロール血症
① どんな病気?
- 遺伝的に LDL-C(悪玉コレステロール)が非常に高くなりやすい 体質で、若年から動脈硬化が進行しやすい。
- 放置すると 若年性冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞) のリスクが高い。
- 「生活習慣だけ」の脂質異常症とは異なり、家族歴と身体所見が手がかりになる。
② 病態(なぜLDLが上がる?)
- 主に LDL受容体(LDLR)機能低下(ほか APOB、PCSK9 などの異常)により、
- 肝臓が血中LDLを回収できない → LDL-Cが高値になりやすい
- LDLが血管壁に沈着しやすい → 動脈硬化が加速
③ ヘテロ接合体 / ホモ接合体(重症度のイメージ)
- ヘテロ接合体(HeFH)
- 比較的多い(頻度は「数百人に1人」程度のイメージ)
- LDL高値+家族歴が典型
- ホモ接合体(HoFH)
- まれだが重症(小児期からLDLが非常に高い)
- 早期から冠動脈疾患リスクが極めて高い
- 強力治療(PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、LDLアフェレーシス等)が必要になりやすい
④ 主な症状・身体所見(キーワード)
- 多くは 自覚症状がない(健診でLDL高値として発見)
- 腱黄色腫(特にアキレス腱肥厚)
- 黄色腫(皮膚・眼瞼など)
- 角膜輪(若年で見られる場合は示唆的)
- 進行すると 狭心症・心筋梗塞・脳梗塞 など
⑤ 診断の考え方(ざっくり)
- LDL-C高値(特に若年から)+ 家族歴 + 腱黄色腫/アキレス腱肥厚 などを組み合わせて疑う。
- 二次性(続発性)高脂血症(甲状腺機能低下、ネフローゼ、糖尿病、薬剤など)を除外する視点も重要。
⑥ 治療の全体像(概要)
目標: LDL-Cをできるだけ早期から下げて、動脈硬化性疾患を予防する
- 生活習慣改善(食事・運動・禁煙)は土台だが、FHはそれだけでは不十分なことが多い
- 薬物療法の基本:スタチン(強力)を中心に
- 追加:エゼチミブ
- 追加:PCSK9阻害薬(重症例・高リスク例)
- HoFHなど:MTP阻害薬、LDLアフェレーシス等も検討
⑦ 看護・指導のポイント(要点)
- 無症状でも治療継続が重要(「症状がない=治療不要」になりやすい)
- 家族(血縁者)の検査・受診につながる声かけ(カスケードスクリーニングの発想)
- 薬物療法の副作用観察(スタチンの筋症状など)と、定期採血(脂質・肝機能など)の継続支援
- 若年でもリスクが高い病態であることを、恐怖訴求ではなく「将来の予防」として説明する