フルマゼニル

フルマゼニル

① 薬効群・概要

フルマゼニルは、ベンゾジアゼピン系薬の作用を解除する静注の拮抗薬。麻酔・検査後の覚醒促進や、ベンゾジアゼピン系薬の過量投与時に用いられる。オピオイドの作用は解除しない。

② 代表薬・製品名

一般名先発品例剤形特徴
フルマゼニルアネキセート®注射液0.5mg注射剤(静注)ベンゾジアゼピン系薬の作用を競合的に遮断。再鎮静に注意

③ 作用機序

  • GABA_A受容体のベンゾジアゼピン結合部位に競合的に結合する
  • ベンゾジアゼピン系薬の作用を遮断し、鎮静・催眠・健忘・筋弛緩を解除する
  • オピオイド受容体には作用しないため、オピオイドの呼吸抑制は改善しない

④ 適応疾患・薬理作用

  • ベンゾジアゼピン系薬による鎮静の解除
  • 麻酔・検査後の覚醒促進
  • ベンゾジアゼピン系薬の過量投与時の拮抗
  • 鎮静、催眠、健忘、筋弛緩、呼吸抑制を解除する

⑤ 臨床効果

  • 意識レベルを改善し、覚醒を促す
  • ベンゾジアゼピン系薬による呼吸抑制を改善する
  • 麻酔・処置後の鎮静や健忘を解除する

⑥ 主な副作用

  • 悪心・嘔吐、めまい、頭痛
  • 興奮、不安、動悸、血圧上昇
  • 急な拮抗による離脱症状
  • けいれん、不整脈
  • 作用時間の差による再鎮静

⑦ 禁忌・注意

  • 本剤またはベンゾジアゼピン系薬への過敏症では禁忌
  • ベンゾジアゼピン依存患者では、急な拮抗により離脱症状やけいれんを起こすことがある
  • てんかん患者ではけいれん誘発に注意する
  • 三環系抗うつ薬などとの混合薬物中毒では、けいれんや不整脈が悪化する可能性がある
  • 本剤の作用は短いため、投与後に再鎮静が起こることがある

⑧ 看護・観察ポイント

  • 投与前後の意識レベル、呼吸数、SpO₂、血圧、脈拍、心電図を観察する
  • 気道確保、酸素、吸引、蘇生器具を準備する
  • 覚醒後の再鎮静、呼吸抑制、興奮、けいれんを観察する
  • 嘔吐・誤嚥のリスクに注意する
  • 反応が不十分でも、原因薬がベンゾジアゼピン系以外の場合があるため、原因薬と併用薬を確認する

⑨ 服薬指導

  • 静脈注射薬であり、医療者が使用する
  • 投与後も眠気や再鎮静が生じることがあるため、医師の許可があるまで運転や危険作業をしない
  • 異常な眠気、呼吸が浅い・遅い、けいれん、強い動悸などがあれば直ちに医療者へ知らせる