03 事前学習(循環器①:循環と体液・高血圧・心不全・利尿薬)

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  • 事前学習(15〜20分)の要点整理です。
  • この回は、循環を心臓・血管・腎臓(体液)のセットで理解し、降圧薬・心不全治療薬・利尿薬を「作用する場所」で整理します。

到達目標(事前学習)

  1. 血圧を決める要素を説明できる
  1. 交感神経系とRAA系の役割を説明できる
  1. 高血圧と心不全の病態を簡単に説明できる
  1. 降圧薬・心不全治療薬・利尿薬の作用点を分類できる

1) 循環と体液の基本(6ポイント)

循環を支える3要素

  • 心臓:血液を送り出す
  • 血管:血液の流れやすさ(抵抗)を調節する
  • 腎臓:Na・水(体液量)を調節する

血圧は何で決まる?

  • 血圧 ≈ 心拍出量 × 末梢血管抵抗

心拍出量は何で決まる?

  • 心拍出量 = 一回拍出量 × 心拍数
(前負荷/後負荷は、まず“静脈還流”と“送り出す抵抗”としてイメージする)

体液量と血圧

Na・水貯留 → 循環血液量↑ → 静脈還流↑ → 心拍出量↑ → 血圧↑

交感神経(短期の調節)

交感神経活性化で:
  • 心拍数↑、心収縮力↑
  • 血管収縮
  • レニン分泌促進

RAA系(体液の調節)

  • Ang II:血管収縮
  • アルドステロン:Na・水貯留

2) 高血圧:血圧を下げる3方向

方向何が変わる?
血管を広げる末梢血管抵抗↓
心臓の働きを抑える心拍出量↓
Na・水を減らす循環血液量↓

代表的な降圧薬(作用点で整理)

薬効群主な作用点
Ca拮抗薬血管平滑筋
ACE阻害薬・ARBRAA系
利尿薬腎臓
β遮断薬心臓・腎臓

3) 心不全:うっ血と低灌流

心不全:心臓が十分に血液を送り出せず、
  • うっ血(肺うっ血、浮腫、体重増加)
  • 低灌流(倦怠感、四肢冷感、尿量低下、意識変化)
が起こり得る。

代償反応(注意)

心拍出量↓ → 交感神経/RAA系↑ → 一時的に循環維持
ただし長く続くと、心臓への負担↑ → 心不全悪化。

心不全治療薬(全体像)

治療の方向主な薬効群
うっ血を改善利尿薬
RAA系を抑えるARNI、ACE阻害薬、ARB
交感神経の過剰を抑えるβ遮断薬
アルドステロン作用を抑えるMRA
心不全イベントを減らすSGLT2阻害薬

4) 利尿薬:腎臓のどこに作用する?

作用部位主な利尿薬
ヘンレ係蹄上行脚ループ利尿薬
遠位尿細管サイアザイド系
遠位尿細管〜集合管K保持性利尿薬・MRA
利尿薬で起こる変化:
Na再吸収↓ → Na・水排泄↑ → 循環血液量↓ → 血圧↓ / うっ血改善
尿がでる仕組み

まず結論:尿は「つくる→戻す→調整する」でできる

腎臓(ネフロン)では、次の3つが連続して起きて最終尿ができます。
  1. 糸球体で「ろ過」(血液から原尿を作る)
  1. 尿細管で「再吸収」(必要な水・電解質・栄養を血液へ戻す)
  1. 尿細管で「分泌」(不要物や一部の薬を尿へ出す)
この結果、体の中の水分量・Na(ナトリウム)・K(カリウム)などが一定に保たれます。

① ろ過(糸球体):原尿を作る

どこで?

  • 腎臓の糸球体(毛細血管のかたまり)+ボーマン嚢

何が起きる?

  • 血液が「ふるい」にかけられて、水と小さな物質がボーマン嚢へ移動する
  • これが原尿

何が通る/通らない?

  • 通る:水、Na、K、Cl、尿素、グルコース(糖)など
  • ほぼ通らない:血球、大きなタンパク(アルブミン)など
ポイント:原尿には「糖」も入る。糖が尿に出ないのは、次の“再吸収”で戻されるから。

② 再吸収(尿細管):必要なものを戻す

原尿のうち、必要な水・電解質・栄養は尿細管で再吸収され、血液(毛細血管)へ戻ります。

どこで何を主に戻す?(ざっくり地図)

  1. 近位尿細管:大量に戻す(いちばん働き者)
  • 水、Na、HCO₃⁻(重炭酸)、グルコース、アミノ酸 など
  • SGLT2は「糖の再吸収」に関係(糖尿病の回で再登場)
  1. ヘンレ係蹄(ヘンレのループ):濃くする仕組みを作る(体の“節水装置”の土台)
  • 下行脚:水が出やすい
  • 上行脚:Na・K・Clを戻す(ただし水は戻しにくい)
  1. 遠位尿細管〜集合管:微調整(ここで“最終決定”)
  • Naをどれだけ戻すか/Kをどれだけ捨てるか
  • 水をどれだけ戻すか(ADHの影響)

③ 分泌(尿細管):体に要らないものを尿へ出す

  • H⁺(酸)、K、薬物(ペニシリン系など)、有機酸・有機塩基 など
  • 体内の酸塩基平衡K調節にも重要

④ 最終尿量を決める「2つのホルモン」

ADH(抗利尿ホルモン)

  • 集合管で水を戻す働きを強める
  • ADH↑ → 尿量↓(濃い尿)
  • ADH↓ → 尿量↑(薄い尿)

アルドステロン(RAA系)

  • 遠位尿細管〜集合管でNaを戻す(→水も一緒に戻りやすい)
  • 代わりにKを捨てやすくする
  • アルドステロン↑ → 体液量↑/血圧↑(になりやすい)

利尿薬が“効く場所”はここ(今日の回のつながり)

薬効群主な作用部位ざっくり何が起きる?
ループ利尿薬ヘンレ係蹄上行脚Na再吸収↓ → 尿へ出るNa・水↑
サイアザイド系遠位尿細管Na再吸収↓(比較的マイルド)
MRA/K保持性遠位尿細管〜集合管Na再吸収↓、ただしKは保持方向
つまり「尿を増やす」=体の中のNa・水の出入りを変えること。対面授業では、その結果として起こる低血圧、腎機能悪化、電解質異常を症例で考えます。

事前確認問題(5問)

  1. 血圧を決める2要素は何か。
  1. 心拍出量を決める2要素は何か。
  1. RAA系が活性化すると、血管と体液量はどう変化するか。
  1. 心不全で「うっ血」を示す変化を1つ、「低灌流」を示す変化を1つ。
  1. 利尿薬でNa・水排泄が増えると、循環血液量はどう変化するか。

次に考える問い(対面につなぐ)

Naと水の排泄が増えすぎたら、患者に何が起こるだろうか。