03 事前学習(循環器①:循環と体液・高血圧・心不全・利尿薬)
4) 利尿薬:腎臓のどこに作用する?
| 作用部位 | 主な利尿薬 |
|---|---|
| ヘンレ係蹄上行脚 | ループ利尿薬 |
| 遠位尿細管 | サイアザイド系 |
| 遠位尿細管〜集合管 | K保持性利尿薬・MRA |
利尿薬で起こる変化:
Na再吸収↓ → Na・水排泄↑ → 循環血液量↓ → 血圧↓ / うっ血改善
尿がでる仕組み
まず結論:尿は「つくる→戻す→調整する」でできる
腎臓(ネフロン)では、次の3つが連続して起きて最終尿ができます。
- 糸球体で「ろ過」(血液から原尿を作る)
- 尿細管で「再吸収」(必要な水・電解質・栄養を血液へ戻す)
- 尿細管で「分泌」(不要物や一部の薬を尿へ出す)
この結果、体の中の水分量・Na(ナトリウム)・K(カリウム)などが一定に保たれます。
① ろ過(糸球体):原尿を作る
どこで?
- 腎臓の糸球体(毛細血管のかたまり)+ボーマン嚢
何が起きる?
- 血液が「ふるい」にかけられて、水と小さな物質がボーマン嚢へ移動する
- これが原尿
何が通る/通らない?
- 通る:水、Na、K、Cl、尿素、グルコース(糖)など
- ほぼ通らない:血球、大きなタンパク(アルブミン)など
ポイント:原尿には「糖」も入る。糖が尿に出ないのは、次の“再吸収”で戻されるから。
② 再吸収(尿細管):必要なものを戻す
原尿のうち、必要な水・電解質・栄養は尿細管で再吸収され、血液(毛細血管)へ戻ります。
どこで何を主に戻す?(ざっくり地図)
- 近位尿細管:大量に戻す(いちばん働き者)
- 水、Na、HCO₃⁻(重炭酸)、グルコース、アミノ酸 など
- SGLT2は「糖の再吸収」に関係(糖尿病の回で再登場)
- ヘンレ係蹄(ヘンレのループ):濃くする仕組みを作る(体の“節水装置”の土台)
- 下行脚:水が出やすい
- 上行脚:Na・K・Clを戻す(ただし水は戻しにくい)
- 遠位尿細管〜集合管:微調整(ここで“最終決定”)
- Naをどれだけ戻すか/Kをどれだけ捨てるか
- 水をどれだけ戻すか(ADHの影響)
③ 分泌(尿細管):体に要らないものを尿へ出す
- H⁺(酸)、K、薬物(ペニシリン系など)、有機酸・有機塩基 など
- 体内の酸塩基平衡やK調節にも重要
④ 最終尿量を決める「2つのホルモン」
ADH(抗利尿ホルモン)
- 集合管で水を戻す働きを強める
- ADH↑ → 尿量↓(濃い尿)
- ADH↓ → 尿量↑(薄い尿)
アルドステロン(RAA系)
- 遠位尿細管〜集合管でNaを戻す(→水も一緒に戻りやすい)
- 代わりにKを捨てやすくする
- アルドステロン↑ → 体液量↑/血圧↑(になりやすい)
利尿薬が“効く場所”はここ(今日の回のつながり)
| 薬効群 | 主な作用部位 | ざっくり何が起きる? |
|---|---|---|
| ループ利尿薬 | ヘンレ係蹄上行脚 | Na再吸収↓ → 尿へ出るNa・水↑ |
| サイアザイド系 | 遠位尿細管 | Na再吸収↓(比較的マイルド) |
| MRA/K保持性 | 遠位尿細管〜集合管 | Na再吸収↓、ただしKは保持方向 |
つまり「尿を増やす」=体の中のNa・水の出入りを変えること。対面授業では、その結果として起こる低血圧、腎機能悪化、電解質異常を症例で考えます。